～小さな世界～【永瀬廉】 (ページ14)

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幻を見た。

私は今きっと幻を見たのだ。

「…今、…笑いました？」

永瀬『……』

「…笑いましたよね？」

永瀬『笑ってない。』

「…えっ！？え…今ちょっと怒ってます！？」

みるみるうちに表情が変わり

今度は永瀬さんの頬が火照り始める。

「…もしかして…照れてます？」

永瀬『…ええから早よ食わせろや。』

「…え！？え？待って待って頭が追いつかない…」

永瀬『……』

情報量が多すぎるあまりパニックに陥る私。

少し笑った。

そのあと少しだけ怒って、そして照れた。

言葉は少し乱暴で、関西の言葉を使う。

照れた時は頬を赤くして目をそらす。

今すぐこの情報を看護記録に残したいくらい。

徐々に感情を顔に出し始める永瀬さんの姿に

私は足をバタバタとさせて喜びを表した。

永瀬『……』

「…ふふふ」

永瀬『……』

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だけど、これ以上調子に乗ると

また振り出しに戻ってしまいそうなので

切り替える為に私はわざと咳払いをした。

もう一度、

パンを一口ちぎって永瀬さんの口元へ。

すると永瀬さんは

再び小さく口を開けて一口パクッと。

やっぱりライオンの赤ちゃんみたい。

ちょっとだけ怖いけど、可愛いの。

「…他のおかずも、…食べますか？」

永瀬『……。』

少し間を置いて、コクッと頷く。

ロールパン効果…恐るべし

この後も

野菜スープ、スクランブルエッグ

ほうれん草のお浸しなどを

私がスプーンを使って口元へ運んであげると

黙って食べてくれた。

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そして、

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「…なくなった。」

永瀬『……』

空になったお皿の上。

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21歳成人男性

朝ごはんが食べられるようになる

でもいいの。

これが大事なの。

ゆっくりと立ち上がり

私は手を伸ばして

ふさふさの金髪に触れた。

目を丸くして驚いた顔をする永瀬さんをよそに

私はクスッと微笑みながら

「よく出来ました。…ふふ」

永瀬『……』

無意識に頭を撫でた。

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「…ふふふ、すいません生意気言って。」

永瀬『……。』

貴方の隙を見つけた。

私はそこに迷わず足を踏み入れる。

こうして少しずつ、

私は貴方の闇を知る＿＿

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