74 ページ24
.
永瀬『…Aさん。』
「……」
永瀬『Aーー……』
「……」
廉を置いてどんどん前へと歩いて行く私。
.
＿＿似合ってへんで、お前それ。
.
.
ムカつくムカつくムカつくムカつく
イライライライライライライライラ
.
この無神経。
馬鹿。
アホ。
マヌケ。
.
永瀬『冗談やんけ。…そんな怒んなや。』
「もう着いてこないで。」
永瀬『………もぉお、どこ行くねん。』
「ホテル。」
永瀬『…は？…なんしに来たん東京。』
.
なんで逆ギレされなきゃいけないの。
冗談でも言っていい事と悪い事があるよね。
てか、冗談のテンションじゃ無かったよね。
似合わないとか。
.
傷つくに決まってるじゃない。
.
「東京のホテルを堪能しに来たんです。」
永瀬『もぉええから。…機嫌直して』
廉は私の肩を掴み、
ズカズカと前を歩く私の足を止める。
「離して。」
永瀬『…ごめんて。』
「やだ。」
永瀬『いつも言うてるやん、…冗談くらい』
久しぶりに会って、
なんだこれ。
別に私だって
こんな小さい事で怒りたくないよ。
どれだけこの日を楽しみにしていた事か。
廉に可愛いと思われたくて、
ダイエットとかもして
慣れないメイクも、
いっぱい練習したのに。
この日の為に、
頑張ったのに。
.
下を向いて黙り込む私に、
ついに廉は大きな溜息をつく。
.
永瀬『…ちょ、…マジ面倒くさい。』
「……」
永瀬『なんでキレられなあかんねん、…ダルいわ』
鬱陶しそうに髪を触りながら
顔を歪ませる廉。
.
.
そうだね。
こんな事で怒って、私面倒くさいね。
しょーもない。
そんな事分かってる。
くだらない事で怒ってるなんて
分かってるけど
「……」
キャリーバッグを握る手に力が入る。
そして、
.
.
.
永瀬『…ちょ…なんで泣い…』
「もぉ！…触らないで！！！」
目に沢山の涙を浮かべながら廉を睨みつけ
肩に触れた廉の手を思いっきり振り払い
私はキャリーバッグを両手で抱えて
.
.
「廉のばぁああああか！！！！！！……」
それだけ言って
その場を走り去った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1827人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayu
| 作成日時：2020年10月8日 14時
