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「あっ、ねぇ。私の携帯でも撮っていい？」
永瀬『ええよ。』
鞄から携帯を取り出し
同じように顔を寄せて撮ろうとすると、
自然と左腰に廉の手が回ってきて
思わず、え？っと声が出てしまう。
永瀬『なに？早よ撮って。』
「……あ、うん。」
パシャッと撮り終えると
どんなん？と携帯画面を覗いて見てくる。
永瀬『ええやんそれ。あとで送ってな。』
「…うん。」
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こんなの
今までなんとも思わなかった。
もともと廉は距離が近い。
だから、それに慣れているつもりだったのに。
自然と腰に手を回されたり、
突然手を握られたり、
顔を寄せて写真を撮ったり、
今もこうして
肩と肩が触れ合う程の距離に廉が居て。
「……」
なんでだろうね。
さっきからずっと、
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心臓の音が、騒がしいんだよ。
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永瀬『来年も行こな。』
「え？」
永瀬『海。』
胡座をかいて座る廉は、
ごく普通のトーンで話始める。
永瀬『お前向こう行っても、寂しぃ〜
言うて1人で泣くんやろ、どうせ。』
嫌な言い方するなぁー、ほんと。
私の泣き真似をして笑う廉を
私はわざと睨みつけた。
「…そんな泣き方しないもん。」
永瀬『ハハハッ、いやしてるからお前。』
「てか、向こうに行っても泣かないし私。」
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永瀬『俺は泣くけどな。』
「………。」
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急に真面目な顔で言うものだから
私もつい黙ってしまう。
そんな私を見て廉は、
自分の鼻を触りながら照れたように笑い、
永瀬『んふふ、嘘。それは冗談やけど。
まぁ、だからあれよ。夏休みも冬休みも、
てか別にちょっとした休みの日でも、』
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永瀬『お前の事が好きやから会いに行ったるわ。』
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海風が、私達の間を優しく通り抜け
潮の匂いがフワッと香る。
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それと同時に
頬を赤く染めた廉は
私の目を真っ直ぐに捉え始める。
お互いの視線がしっかりと重なり、
私は自然と息を止めた。
そして、
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永瀬『お前の事が、ずっと好きでした。』
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月29日 20時
