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永瀬『……』
「……」
廉の目は、
しっかりと私を捉えていて。
そんな顔で言われたら…
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永瀬『…んふふふ、冗談じゃアホ。』
「……。」
すると廉は、頭を掻きながら
呆れたように鼻で笑って言った。
なんとなく
困った顔で廉を見つめていると
永瀬『本間にすんで。』
「……ご、ごめん。」
永瀬『じゃあその顔やめろ。鬱陶しい。』
冗談、冗談。
ただの、冗談。
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「紫耀、遅いね。」
永瀬『あの先生、話長いからなぁ。』
「ふふふ、確かに。」
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夏休みのやる事リストを
もう書き飽きてしまった私達。
というか、変な空気になっちゃったし辞めた。
廉の机に顔を横向きに伏せて
私は瞼を閉じる。
「ちょっと、寝ていい？」
永瀬『…おん。』
「ちゃんと起こしてね。」
永瀬『はいよ。』
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と言いながらも
私の頬を、廉の指がイタズラになぞる。
「くすぐったい。」
永瀬『んふふ、早よ寝ろ。』
「ふふふ、寝れないでしょ。」
側から見れば、
近すぎる私達の距離感。
特に廉とは
たまに距離感が分からなくなる。
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私は廉の指を、ギュッと捕まえる。
「……やめてってば。」
永瀬『……。』
そのまま廉の手を握ると、
ゆっくりと握り返される私の手。
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駄目だ…
静かな教室と落ち着いた雰囲気で
本格的に眠たくなってきた私。
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「…ねぇ、廉」
永瀬『…なに？』
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私は廉の手を
自分の顔の方へと近づけて
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「……廉の手、こんなに大きかったっけ。」
永瀬『………。』
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黙り込む廉に、
この話題もダメなのかと心の中で呟きつつも、
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「……廉も、大人になったんだね。」
永瀬『…まぁな。』
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私達は、
確実に大人への階段を登り始めている。
「…おやすみ。」
永瀬『……早よ寝ろ、腹立つ。』
「…ふふふ」
廉、ごめんね。
私、嫌な女だね。
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永瀬『………。』
私は廉の手を握りながら
そのままゆっくりと、
浅い眠りに入ってしまった。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月29日 20時
