59 Ren side ページ9
ren side…
『ごめん、あと半分以上は下心。』
「…はぁ?」
『だって可愛いかってんもん。しゃーない』
“………聞いて損した”
そう言ってAは、
口を尖らせて笑っていた。
.
強くて、しっかり者で、自分を持ってて、
自分の好きなペースで生きようとするAは
側から見れば、
理想の生き方というか
カッコいいというか。
俺もどちらかと言うと
側から見れば理想の人生
憧れられる人生なんやろなぁと思う。
.
でもほんまは、
『A。』
「……ん?」
.
小さな手を握り
俺は、Aの寂しげな瞳を静かに見つめる。
『………』
「………」
.
でもほんまは、
常に孤独との戦いなんよね。
理想を追い続けてたら、
いつのまにか、世間体を気にするようになって
本来の自分さえも見失って、
最終的には他人を信用せんくなる。
でも、Aだけは
__本当の事は、
全員にわざわざ知ってもらわなくても
誰か一人の人には、信じて貰えるといいね。__
Aの前では、
自分をさらけ出しても
甘えても良いような気がした。
でも、
俺の居場所はここじゃないから。
帰らないとあかん場所が、俺にはあるから。
だから、
せめてAは、
俺がいつでも会いに行けるこの村にずっと
居てほしいとか、
無責任な事を思わず言いそうになって
.
永瀬『…ごめん、やっぱなんもない。』
「…ふふ、なんだそれ。」
.
俺がおらんくなったとしても
幸せになんかならんといてほしい。
ずっと孤独で、俺の事を想いながら
忘れられない人生を歩んでほしい。
「風が気持ちいいね、廉。」
『……うん。』
.
なんて、
最低な事を考えてしまった自分が
心底、嫌になった。
.
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作者名:ayu | 作成日時:2020年9月19日 1時