～ネコ日和～【永瀬廉】２ (ページ16)

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廉にさよならを言わずに

私がまず向かった場所。

それは隣町まで。

理由は単純。

お見送りするのが

さよならをするのが

ただただ寂し過ぎるから。

見送る側も、見送られる側も

結局どちらも辛いはずだから

それなら、敢えて何も言わずに終わる方が

なんて都合よく理由をつけて

隣町まで逃げてきた。

でも、まさかこんなタイミングで

廉の秘密を知る事になるとは

思ってもいなかったけど。

それは…

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「キングアンド…プリンス…？…」

たまたま目に止まった週刊誌。そこには、

表紙のど真ん中に

私の知っている廉が写っていて…

それはあまりの驚きに

その場で大きな声を上げてしまいそうになった。

「……なっ……え…」

そしてさらには、

“永瀬廉活動休止から1年”

“活動再開にファンは賛否両論”

と大きな文字で綴られたタイトル。

活動休止の経緯はざっくり伝えると、

女性関係のようなもの。

そんな内容が、週刊誌にはずらずらと書かれていた。

いろんな情報を頭に一気に取り込んでしまい

少々、パニックにはなったけど。

廉の帰るべき場所は

私が想像していたものよりも遥かに大きくて。

頑なに1年という期限を守ろうとする理由や

私との関係を曖昧にせざる得ない理由が

今、ようやく分かった気がした。

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廉が村を出た1週間後に

私はまた、この村に戻ってきた。

勿論、廉の姿も荷物も全て無くなっていた。

＿＿Aへ

今までありがとう。

廉より＿＿

小さな紙に廉の字で書かれた

メモだけを残して。

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これは私のただの憶測だけど、

きっと廉は、

この記事に対してちゃんと否定をしたかったけど、

それを受け入れられず、信じてもらえずに

沢山一人で苦しんだのかな。

そして、

自分の事を知らない人間や町を探して

有名人では無く、ただ一人の人間として

永瀬廉としての自分を取り戻したかったのかな。

なんて勝手に想像なんかも、したりした。

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本当の事なんて、本人にしか分からないのにね。

　
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「……元気かな。」

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ちゃんと食べてるかな。

廉は痩せてるから、心配だよ。

ねぇ、

元の場所に戻った今、

廉は、幸せ？

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