～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ9)

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「無理です」

永瀬『えっ！？…なんで無理なん？』

「なんで？なんでって…」

永瀬『…嫌い？俺、昨日なんかしてもうた？』

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好きとか嫌いとか、そこまでに達してもいない人に

急にここで住ませて下さい、なんて言われても

困るし、普通にありえない。

「…嫌です。貴方の事、全然知らないですし」

永瀬『それは、これから知っていけばいいから。』

「無理です。無理なもんは、無理です。」

永瀬『えー…』

また家の中に舞い戻ってきたこの人は

リュックまで下ろして居間に座り

私に一緒に住むメリットを必死で話し出す。

永瀬『朝起きたら、俺がおんのよ？』

まるで自分がご褒美みたいな言い方するね。

永瀬『俺めっちゃ食うし、飯の作り甲斐あるよ？』

食費がかさむね、それ。

永瀬『近くに男おった方が、何かと頼りになるし』

そんな細い身体で、何が出来るの。

邪魔で仕方ないよ。

永瀬『あとはー、んー…ちょ待って今考えてるから』

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この人の一緒に住むメリットに

全く惹かれない私は、

薄く目を開けて、呆れた顔をする。

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「…なんでここ？」

永瀬『え？』

「何もないし、不便ですよ？」

それに、

貴方のような人が住むには

あまりにも物が少な過ぎる。

逆に何に惹かれて、

そこまで必死になるのかが全く

永瀬『お米』

「ん？」

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でも

その人は考える素振りは一切見せず

即答でこう言った。

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永瀬『Aちゃんの作った米が美味かったから』

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キラッキラの瞳で

真っ直ぐに見つめられると、

私の気持ちもつい、揺らぎ

「あ、それなら却下です。」

ませんでした。

却下です。

永瀬『いや…ちゃうやん、それだけじゃないのよ。』

「もーー、何言われても無理です。」

こんな事になるなら、

昨日、招き入れるんじゃなかった。

私は、自分のした行動を酷く後悔した。

永瀬『米が美味かった、ってのはマジやねんけど、

その、1番の理由は、…ちゃんと他にあって。』

もう聞いても無意味だと思った私は

返事もせずに黙って聞いた。

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永瀬『なんかAちゃん、俺に似てるんよ。』

「………。」

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