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「ふふふ、…だから廉は、珍しいよ。」
村しか知らない私は、
どうやら可愛い女にはなれないらしい。
私に山猿のような暮らしを教え込ませた母を
酷く恨んだのは、もう昔の事だけど。
廉は、
私が話している途中で
またご飯を食べ進めていた。
聞いてるのか、聞いてないのか、
どちらか分からない表情で、
ただ黙々と口に運ぶ廉。
ま、こんな話。
つまらないか。
と、私も廉と同じように
いつもより少しだけ静かにご飯を食べた。
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その日の夜は、
なんとなく寝付きが悪かった。
瞼をつぶって何度か寝返りをするも、
頭の中がぐしゃぐしゃしていて
眠りに集中できない。
「……お水、飲みに行こ。」
こんな日は、
無理に寝ようとすればするほど難しい。
切り替えも、重要だ。
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廉を起こさないように、
そっと木の階段を降りて
真っ暗なキッチンへと向かう。
ガチャ…
これまた最小限に音を立てて
冷蔵庫を開け、冷えた水のボトルを取り出し
台所のコップを取ろうとした時、
私は、ある違和感を覚えた。
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「…廉？…」
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居間で寝ているはずのシーツの上に
廉の姿が見当たらない。
「…廉？…どこ？」
シワになったシーツと、
クシャクシャになった布団。
どこに…
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ドクンッと
嫌な心臓の音がした。
慌てて家の電気を付けると
勿論、廉の姿は無く
「…やだ。…やだよ…」
私は、半泣きになって
走って家の外へ出た。
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「れーん！…っ…」
家の周りをぐるっと一周したが
廉の姿も、気配すらもない。
小屋の下には、廉の自転車もあって
歩いて行ったなら、まだそう遠くないはず。
でも、
「……酷いよ。…れん。」
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私は、追いかける事が出来なかった。
「…廉…っ…のバカァ…」
その場にしゃがみ込み、
膝を抱いて涙を流す。
なんでなにも言わずに…
なんで皆…
なんで私を1人にして置いてくの…？
「…なんで…っ…」
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永瀬『A？』
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
