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真っ暗な家の中、
私はあえて電気も付けず懐中電灯を持ち
『誰かぁ。…誰か居ませんかぁー…』
玄関先で聞こえる妙に甲高い男の声の方へ
恐る恐る近づいて行く。
時刻は23時
こんな時間にやって来る者なんて
大概、コウモリや野良猫だったりする。
それが今回は、人間の気配がするとなると、
私にとって恐怖でしかない。
「………」
息を潜め、ゆっくり、ゆっくりと。
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『…だれかあぁーー。…おらんのぉー…』
次第とその声も弱々しくなってくる。
この村に、こんな若い男の声をする者は居ない。
それが更に不信感を抱く理由の一つ。
しかし、
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『………。』
「………。」
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あれ？…静かになった。
と、ガチガチに上がった肩を一瞬だけ
力を抜いたその瞬間、
.
.
バタンッ！！
「…っ！！！」
玄関前で大きな物音が鳴り響く。
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え…なになに！？
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サンダルを履いて、
そーーっと引き戸を細く開けて覗いて見る。
すると、
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「…なっ！！…え、大丈夫ですか！？」
『………。』
.
私の家の前に、
大きな男が死んだように倒れていた。
.
暗くてよく見えない。
でも、息は…してるようだ。
「…ぁの〜。」
『………。』
しゃがんで声をかけてみるも
返答はない。
「…大丈夫ですか？」
『………。』
私は、指でその人の腕を
ちょんちょんっと突いてみた。
『……ん……』
「…はっ！！…あの！大丈夫ですか？」
すると、
その男は少しだけ反応して
『……だれ…』
こっちの台詞だわ。
と、心の中でツッコミを入れるも
どうやらこの男、いろいろと限界のようで
「…起き上がれますか？」
『……みずを…』
「みずを？」
『水』
あ、水！！
私は慌ててキッチンの方へ向かい、
コップに冷えた水を一杯入れて
もう一度その男の元へ駆けつけた。
「はい、ど、どうぞ！！」
『…っ！！』
すると男は
そのコップを私から無言で奪い取り
取り憑かれたかのように必死で水を飲み干した。
『…っはあぁ！！…危なぁ…死ぬとこやった…』
「………。」
謎だ。
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作者名：ayu
| 作成日時：2020年9月15日 10時
