～ネコ日和～【永瀬廉】 (ページ2)

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ー夏ー

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朝早く起きて朝食を摂り、

自転車で15分程行くと自身の田んぼが顔を出す。

ジメジメと暑苦しい蒸し風呂の中、

ツバの大きい麦わら帽子

Tシャツとダボっとしたパンツ、

そして黒の長靴を履いた農業スタイルの私が、

田んぼのお世話をするのは、ほぼ毎日の事。

雑草を抜く、水抜き、

あえて土に空気を入れて根を張りやすくするなど

毎日、気の抜けない田んぼの世話。

「…害虫なんかに負けんなよぉ～」

稲がぐんぐん育ちますようにと、

たまにこうして声をかけてあげたりもする。

「…あぁ～、…あっつい。」

自給自足の1人暮らしは、

ついこぼれてしまう独り言も、

もう習慣化して、当たり前になる。

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午前の作業が終わると

自身の畑の側に腰を下ろして、

「いただきます。」

作ってきたお弁当を食べて一息する。

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村の人に出会す事もほとんど無い毎日。

早朝に起きて、作業して、お弁当食べてまた作業。

夜ご飯は何にしよう、と考えながら帰宅して

木造の小さな家で晩ご飯を食べて1日が終わる。

外の情報も一切入ってくる事はないし

人にとやかく言われる事もないこの場所は、

私にとって心地良く、無くてはならない存在で。

そんな変わらない毎日を過ごしていたからか、

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“奇妙な出来事”

なんかに全く免疫のなかった私は1人、

夜中のとある訪問者に、

酷く怯えていた。

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