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梅雨が終わり、また夏がやって来た。
去年の今頃がちょうど、
日直をするしないで永瀬と揉めた時期。
＿＿騙される方が悪い
あの胸糞悪いデーモンのような永瀬は今、
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永瀬『お前これ着て』
「ん、浴衣？」
永瀬『うん。』
「なんで？どこで？」
永瀬『祭り、一緒に行こや』
長いソファに座る私の肩に頭を乗せて
べったりと身体を擦り付けてくる
ちょっと勝ち気な甘えん坊だ。
「行きたい！お祭り」
永瀬『…ん。…じゃあ、決まりな。』
「この浴衣素敵だね」
永瀬『……』
淡いブルーの浴衣写真が映る永瀬の携帯を
私はスクロールしながら眺めていると、
永瀬『…なぁ』
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私の腰に腕が巻きつく。
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「ん？」
永瀬『……』
「ふふ、なに？笑」
永瀬『まだ？…』
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猫みたいな上目遣い。
だけどその瞳には少しの不安も垣間見えて。
永瀬『まだ、あかんの？』
「……」
永瀬『……チューだけ？』
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学校終わりは、必ず手を繋いで歩いた。
途中寄り道したりして、一つのジュースを分け合う。
家に帰ると、お決まりみたいに短いキスをする。
夜になると、永瀬は毎日私の部屋に来た。
最近の永瀬は、不思議と覚醒しなくなった。
いつもより少し甘い表情をした永瀬と
手を繋いで、キスをして、そのまま瞼を閉じる。
それ以上はない。
いや、それ以上にならないよう
私が歯止めをかけていた。
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嫌じゃない。
決して嫌じゃないけど。
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「……」
永瀬『…うーそ。やめてそんな顔すんの』
「…永瀬、」
永瀬『ゆっくりがいいもんな。ごめんごめん』
優しく髪を撫でられる。
そのまま唇を咥えられて、
深くなり過ぎない程度のキスをする。
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自信がない。
もう、理由はたったそれだけ。
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永瀬『…ぉい』
「っえ…」
永瀬『ちゃんと集中して…』
「…んっ…！……」
このキスの向こう側にある景色。
知識もほとんど皆無に近い私が
何をどうして、どんな顔をすれば良いのか。
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ちょっと、あの人に相談してみようか。
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作者名：ayu
| 作成日時：2021年2月22日 9時
