23 ページ23
.
とは言え、
.
.
「…あぁああああ、…携帯…戻ってきてぇ〜〜
あそこには優太様の記録が大いに詰まっているのに。
動画を見る事が、私の生き甲斐なのにぃー！！！」
帰宅後すぐに大後悔…
うつ伏せで手足をバタつかせていた。
私はふと涙目のまま、ある場所が目に止まる。
それは本棚に眠る
“ 女が可愛くなる、メイク術 ”
という、なんとも虚しい美容本。
友達が欲しくて
入学式の前にあの本をこっそり買った。
周りから遅れを取らないよう
分からないなりに、沢山練習をした日々の記憶。
「…微妙な化粧って、言われたんですけど…」
.
期待も夢も、あいつに全て奪われる。
楽しい時間も、あいつに浸食される。
このままどうせ部員も集まる事なく
KC倶楽部は廃部になって、
また一人の時間が増えて
「……前と変わらない」
変わりたいのに、
なかなか変われないな。
.
.
.
.
「今日のお題は、何をしようか」
.
次の日から、アイツは来なくなった。
授業中の呪文も無くなった。
また前と同じ、平穏な日々が戻ってきた。
ようやく、自由に
「………」
真っ白なホワイトボードを見つめる。
.
.
自由って、
こんなにつまんなかったっけ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1369人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayu
| 作成日時：2021年1月31日 1時
