7 ページ7
.
幸せな時間は
俺に長くは与えてくれなくて
そろそろAが腕時計を気にし始めた。
『まだケーキ残ってるで』
「お母さん、これ食べるかな?」
俺なりのまだ帰らんといて
は、綺麗にスルーされた。
「ごめん、ちょっと御手洗い借りていい?」
『…はい、どうぞ』
お化粧直しですか。
人ん家で。
Aが居なくなったリビングで
俺は一人ポツンと不貞腐れる。
するとその時
テーブルに置いていたAの携帯が
短めにバイブ音が鳴った。
別に、覗くつもりはなくても目に入る。
.
『………』
.
.
Aごめん、今日はやっぱ会えない__
.
.
多分、これは彼氏から。
この文面からして、
Aは今日のデートが無しになる。
いろいろ気になる所はあったけど、
とりあえず俺の気持ちはこの時
めっちゃ複雑やった。
嬉しいって感情も勿論あった。
でも、
「お母さん遅いね?」
『え?あ、…おん』
トイレから戻って来たA
このメッセージを見たら
Aはどんな顔をするのか。
「……」
『……』
.
.
.
何もなかったかのように
Aは一瞬携帯を開いてそのまま鞄に入れた。
ほんまに、一切表情を変える事なく
「じゃあ、そろそろ帰ろうかな」
『…うん』
「ケーキ、残ったら明日食べてね」
ダウンコートを羽織り
玄関に向かうとそこに腰掛けて
茶色いロングブーツを履くAの後ろ姿を
俺はただただ眺める。
.
ゆっくりと立ち上がり俺を見上げて笑う。
そしてAは、俺にフリフリと手を振って
「じゃあ」
『A』
.
.
フラれる覚悟はまだ持ち合わせてない。
可能性も無ければ、自信もない。
でも、
その寂しそうな手を
俺はそっと握るし
え?
と戸惑っているAの目を
じっと見つめる事も出来ちゃうくらい
今の俺はちょっと大胆で
『まだおって。』
「……」
.
.
『オカンが帰って来るまで、一緒におって。』
.
伝わらないように
でもちょっと伝わるようにと
二つの感情を自らややこしく混ぜ込んで
なんか、胸焼けしそうになった。
.
1461人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
aimi(プロフ) - ギャーーーーーーーーーーーわーーーーー‼️今回もすごかったです‼️廉くん目線難しかったですよね?私達のためにありがとうございます✨これからも応援してます✨ (2021年11月2日 19時) (レス) @page42 id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 長文すみません、、、 (2021年11月1日 20時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - すごく面白かったです‼️まとめみたいなのが大好きです❗️廉くんも可愛かった❤️すごく良かったです‼️これからも頑張ってください!応援してます✨ (2021年11月1日 19時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
aimi(プロフ) - 初めまして?小さな世界の感想書くところがなかったのでこちらでいいですか❗️書かせていただきます✨ (2021年11月1日 19時) (レス) id: 7523aceb2d (このIDを非表示/違反報告)
ayu(プロフ) - かなさん» かなさん★おーーーまたせ致しましたすいません…( ;∀;)ようやく新作公開しております!是非お暇な時に読んでいただけると幸いです★ (2021年1月31日 2時) (レス) id: 72acefca01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayu | 作成日時:2020年11月27日 19時