～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ45)

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暑い夏を迎えたあたりから、

商談を私がメインで行うようになり

毎日終業前に、先輩とフィードバックをして

良かった所、悪かった所の振り返りの日々。

最初のうちは、

上手く話せない、契約が決まらないなど

自分の実力の無さにかなり落ち込んだ。

でも、

先輩はそんな私を見捨てる事なく

細かい所まで指摘をしてくれて

そして私でも気付かなかった所を

時折、褒めてくれたりもした。

だから

初めて契約が決まった時、

私は先輩に飛びついて泣きながら喜んだし、

その時だけは先輩も嫌な顔せず、

全力で私を抱きしめてくれた。

一ヶ月目は、

なかなか心を開いてくれなかった先輩に、

“ 優しくして下さい。”

と、半泣きになりながら伝えたよね。

二ヶ月目には、

新人歓迎会の極意を教わり、そのおかげで

“ …せぇんぱいのバカァァーー…っ…うぅ～…”

酔っぱらって泣いた私を慰めてくれた。

そこからというもの、

先輩への想いは猛スピードで加速していき、

三ヶ月目に入った名古屋出張で、ようやく

“ …先輩が好き…です。”

初めてお互いの気持ちが通じ合う。

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そして今

少しだけ肌寒くなってきたこの季節

いよいよ10月に入り、

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「あーあ、明日で先輩ともお別れか。」

永瀬『…んふふ、何言うてんねん同じ職場やろ。』

「でも、…先輩と話す時間が減っちゃいます。」

永瀬『……。』

ついに、

半年という先輩の指導期間が

明日で終わりを迎えようとしていた。

「…寂しいなぁ。」

とは言っても

毎日職場は同じなので顔も合わせるし

隣のデスクだし、彼氏だし、…でも。

永瀬『明日の夜、飯行こか。』

「…え？」

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仕事終わりの帰り道。

隣を歩く先輩の顔を見上げると、

同じように先輩も、私を見下げて言う。

永瀬『行かん？』

「い、行きます！行きたいです！」

永瀬『んふふふ、じゃ決定な。』

「ふふふ、はい！！」

肩が触れ合うくらいの距離で歩く。

私はわざと、先輩の手にそっと触れてみた。

すると、

それを察したかのように先輩は、

何も言わず、前を向いたまま

ギュッと私の手を握ってくれた。

永瀬『なに食いたい？』

『んーー、しゃぶしゃぶ！！』

永瀬『…フッ、お前ほんま肉ばっかやな。』

『ヘヘヘッ』

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