～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ35)

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「先輩…めっちゃ人居ます。」

永瀬『んふふ、まぁな。緊張してんの？』

「…緊張しますよ、そりゃ。」

イベント会場の裏。

そこから見える

イベントに来てくれた沢山の人達に

私の表情はますます硬くなる。

永瀬『何回も練習してんから大丈夫や。』

「…で、でも、もし失敗したら…」

会場の後ろにあるスクリーンの画面を

先輩の話すスピードに合わせて動かしていくのが

今日の私の役目。

もし、…もしも先輩に

迷惑をかけてしまったら…

失敗しちゃったら…

そんな事を考えだしたら

急に緊張してきちゃって、

私は、汗で滲んだ自分の手をギュッと握った。

すると、

突然私の肩に何かが重くのしかかる

それは、先輩の左手。

私は、

何かと思い先輩に顔を向けると、

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永瀬『失敗したら、どうなるやろな？』

そう言って意地悪に笑う先輩。

こういう時って普通さ、

安心するような事を言ってくれるんじゃないの？

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「…ど、どうなりますか？」

永瀬『少なくとも味噌カツは無しやな。』

「えぇ！？そんなぁー…」

先輩、それは酷いですよ。

私の喜びの舞、返して下さいよ。

永瀬『んふふ、うそ。』

「え？」

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そして、

今度は私の頭の上に大きな手のひらが乗り

永瀬『失敗したらしたで、それはいい経験やし。

そん時は、俺がカバーするから別にええよ。』

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と、たまにしか見せてくれない

先輩のあの優しい笑顔で、

ポンポンと頭を撫でてくれた。

「…はい。失敗します。」

永瀬『ハハッ、アホか。失敗しろとは言うてない。』

「ふふ」

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不思議と、心が軽くなる。

私って、本当単純。

単純すぎて、自分でも笑える。

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「はい、先輩！！」

永瀬『…やめてマジで。』

「いーから！早くやりましょう！」

永瀬『いや、ええて。恥ずい恥ずい。』

恥ずかしそうにする先輩の前に

私は右手を大きく伸ばして待つ。

「しましょうよ、えいえいおー！ってやつ。」

永瀬『だからせぇへんて。』

「するんです！！もぉ、ほら！」

嫌そうな顔をする先輩の左手首を掴み、

無理矢理、私の手の甲に乗せた。

「ふふふっ」

永瀬『…するなら早よして。』

「はい！では行きますよ？」

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「えいえい、ぉおお！」

永瀬『…おー』

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