～先輩の隣は～【永瀬廉】 (ページ31)

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「…え？」

先輩は、

躊躇する事なく私の頬を指で撫でてくる。

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永瀬『ホクロ。』

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そう言って、

私の頬を見て、

愛おしそうに笑った。

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先輩って、馬鹿ですか？

先輩って、馬鹿なんですか？

この距離感は、通常運転ですか？

普段から女をたぶらかす

これは先輩のテクニックなのか、

それともやっぱり、ただの馬鹿なのか

全然どっちなのかが分からない。

恋人とも取れるこの距離感に、

分かりやすく頬が火照ってしまい、

「…先輩、くすぐったいです。」

私は誤魔化すように、

先輩の手を払いのけた。

永瀬『……。』

「……。」

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でも、

茶色い瞳は私から離れる事はなく。

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え？

先輩、急に会話が下手になったんですか？

なんですか、この間は。

やめて下さいよ。

こんなの、まるで…

永瀬『…ふっ…』

「……。」

すると先輩は急に笑いだす。

そして、

永瀬『お前が悪い。』

「…はい？」

永瀬『ええから早よすんぞ。時間ないねんから』

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先輩のペースに流されるまま

意味深な言葉だけを頭に浮かべて

＿＿お前が悪い

私はまた、作業を続けた。

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長いようで短かった2週間が終わり

「先輩！！良かったですね！」

永瀬『うん。』

明日に使うプレゼンの資料も

部長のオッケーが出て

今日は久しぶりに残業もなく帰宅する。

「いよいよ明日ですね。」

永瀬『本間やな。お前寝坊すんなよ？』

「私、寝坊だけはしないですよ。」

永瀬『フハハッ、確かに。寝坊“だけ”な。』

もぉ！！と軽く肩を叩くと、

先輩は、また口を大きく開けて笑った。

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最近の先輩は、本当によく笑う。

最初はポーカーフェイスだったというか

全然笑わない人かと思っていたのに。

永瀬『明日5時に起こしてや。』

「はい？」

永瀬『お前俺の後輩やろ。電話で起こして』

「え、本気で言ってます？」

永瀬『お疲れ』

「あ、ちょ！！先輩！？」

先輩の距離感が

たまに分からなくなる時がある。

そして、

それが私も、

心地よかったりして。

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