始末屋さんの甘い誘惑～8UPPERS～ (ページ38)

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ひな祭り【紫】ページ38

今日は、ひな祭りパーティーということで女性もしくは女性同伴のお客さんはバーの酒代半額というイベントをやっている。

そのせいで店の中は満員電車並みの混み具合。

お酒ひとつ持っていくのにも一苦労だ。

体の小さいシェリーは人混みの中を泳ぐようにかき分け酒を運ぶ。

「ちょっと…すみません！…開けてください！…はい！注文ですね…ちょっと待ってくださいね…」

と必死な姿が面白いのか客はシェリーを見て笑っている。

普段からホール係のガムとエース(喧嘩ばかりしているが実はホール係)に加えてジャッキーとアーセナルまでもが酒を運んだり、注文を取ったりしている。

とりあえず、酒を運び終えカウンターに戻ろうとした時、胸のあたりに不自然な感覚を覚えた。

「…」

とあたりを見回して首を傾げる。

それから何度か同じ場所を通るたびに、胸やお尻を触られているような気がして、だんだん怖くなってきたシェリー。

誰かに相談しようにもみんな忙しそうにしているので悪い気がして我慢していた。

とりあえず、わざわざ遠回りしたりしてさっきの場所を避けて通るようにしてみる。

作戦が功を奏したのか、触られているような感覚もなくなり、安心していた時、急に腕を引かれ壁際に追い込まれてしまった。

目の前は壁。手は後ろで押さえつけられ、うるさい店内でも聞こえるくらい荒い鼻息が耳にかかる。