tonight.3

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「なにあの瑞穂！
危うく騙されるところだった！」






あの日からしばらくして、
紗菜に会った。





「あいつのCMのシャンプーは
もう買わないことにするわ。」






ダン！って缶ビールを置いて

息を巻いて豪語してる。







「あのこまだまだ若いわ。
まだ、女を知らないわ。」



「裕太とまた一緒になれるように
ずっと頑張ってきたんだって、」



「大体から何が悪いわけ？
心の拠り所は必要でしょ、」





“あ〜分かるわぁ。”って
クッションを抱きしめた。






私のルームウェアをすっかり着こなしてる。





紗菜が泊まりにくるなんて、初めて。








「紗菜はてっちゃん１本でしょ」


「だからこそ迷うときもあるのよ」


「………葵、みたいに？」


「分からなくもない。
隣の芝生が青くみえるってやつね」



「墓場まで持っていきたいことって
それ関係してる？」



「墓場まで持っていくって言ったでしょ。」




目が合うと、
にや。って。




「きっと太輔は
もう葵さんのことは情だよね」



「…………そうなのかな、」



「そして、気持ちはAにある」




「それは、ないと思う………」




だって、私は太輔に




“幼馴染みだから優しくしただけ”

“………太輔の勘違い”




ひどいこと言って突き放したんだよ








そして、









もう人を巻き込んで
誰かを悲しませたくない




誰かが幸せな思いをすれば、
その裏では泣いてる誰かがいる。






「…………もう疲れちゃった、」



「A………………」





捻れた関係とそれぞれの想い。








「全部あんたが悪いんじゃないよ」



「紗菜……………、」




そろそろ寝よっかって
てきぱきと片付けだした




「みんな弱いの。優しさに甘えたくなるし、
寂しいなかで求められれば私ってこの人にとって必要なんだーって思うし、離れられなくなる。自分のプライドを捨ててまですがりつきたくなるものもあるしさ、」







「……………うん、」







「みんながみんな幸せになれたらいいね…
だけど、それは難しい。
だから親友としては
Aが幸せだったらいいな」







ありがとう、紗菜。





そう言ってくれたけど、

もう自分の幸せがなんなのか分かんないや。

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