tonight.3

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アイスを食べ終わっても
一向に帰る気はないみたいで、
ただつけたままのテレビを
ふたりでぼーっと眺めていた。






CMには瑞穂さんがでていて、




“がんばるねぇ、あいつも。”




なんて、ぼやいてた。








来期からのドラマも
クランクインしたけど、
実はまだ一緒の現場は少ない。









いつもの何考えてるんだか分かんない表情で
画面を見つめているけど、
これから瑞穂さんと
また一緒に過ごす時間が増えていくにつれて
裕太の気持ちは何か変化が起きたりするのかな









きっと瑞穂さんは、
裕太のことがまだすきなんだと思う。









「あー、来週は撮影スケジュール鬼だ………」









となりで嫌そうにため息をついている
裕太は気づいているのだろうか。








ちょうどテレビ番組が切り替わった後、

裕太が大きく伸びをした。








「そろそろ帰ろうかな〜」



「…………ん、」






大きなあくびをした後、









「…………泊まってって欲しい？」








覗き込まれて目があった。









首を横に振ると、









「…………なーんだ、つまんない。」









そう言って立ち上がって
玄関へと向かって行く裕太。









「…………来てくれて、ありがと」






靴を履く後ろ姿、







「ん〜？
あれ、名前かいたの食べちゃだめだよ？」






こっちを見ずに違う話を返してくるのが
なんとも裕太らしい。


それが、口には出さない優しさだって。









「…………アイス、とっとく」







「お前も今度うちに来るとき買っておいで」








そう言って

やっと振り返って、こちらを向いた。









「……………うん、」







少し間が空いた返事に、









「………………苦しい？」









「え？」









「…………俺との事後悔してんでしょ、」









裕太が長い睫毛をゆっくり伏せた。

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