At that time11-9* ページ39
寝間着を見た後、狡噛はゆきの方をじっと見た。
そこであることに気づく。
「…あんたは下着の上下を揃えないのか?」
「そんなこと…え?なんで…」
「下着も寄越せ」
「え…っ…あ、あっち向いてなさいよね!」
言われた通り後ろを向き、脱いだ上の下着を渡してもらう。
受け取った下着を見てみるとやはり、勘が当たった。
「…なるほどな。攻略アイテムの最後のひとつはあんたが隠し場所だったんだ」
破れた下着の中から、トランスポンダのアンテナが出てきた。
これでやっと通信機を使うことができる。
―地下室外―
「…この辺り…局所的だけど、かなり強力なジャミングがかかってますね」
六合塚が妨害電波の発信源を調べていた。
発信源は南西の方角。
マップ上には存在しない区画らしい。
「ここに中継基地を設営する。マップデータは信用するな。隙間という隙間をしらみ潰しに調べろ…それと」
宜野座が即座に指示を出す。
しかし、表情はいつもより厳しいものであった。
「狡噛は見つけ次第ドミネーターで撃て。警告は必要ない」
「でも、まだ脱走と決まったわけじゃ…っ」
「その判断はシビュラシステムが下す」
脱走でなければ、狡噛の犯罪係数にも変化はない。
せいぜい発動するのはパラライザーモードだ。
逃げる気があるのなら容赦なくエリミネーターが起動する。
サイマティックスキャンは誤魔化せないし、本心さえも数値化してしまう。
それでも、朱は宜野座に反論した。
「殺しても構わないって言うんですか!?宜野座さん友達だったんでしょ?」
「…これで狡噛が死ぬ羽目になれば…常守監視官、全ては君の監督責任だ。どうだ?自らの無能で人が死ぬ気分は」
宜野座の言葉が心に重くのしかかる。
そこで征陸の声がかかり、宜野座を掴み上げた。
「…なぁ、監視官それくらいにしとこうか。ちょっと陰険すぎるぜ」
「…くっ」
掴み上げた宜野座を、少々乱暴に降ろした。
宜野座に睨まれるものの征陸は笑ってみせる。
そして、通信の音が鳴り響く。
「…狡噛からです!」
『こっちの位置が認知できるな!?現在コード108が進行中!至急応援を!』
「ありったけのドローンを急行させろ!手当たり次第に経路を試せ!一台でもいいから到着させるんだ!」
宜野座の指示が響き渡った。
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作者名:Mermaid | 作成日時:2017年7月28日 21時