At that time9-4* ページ20
「オリジナリティー…ですか？」
「こんな手間をかけた殺しなのに犯人の主張が薄い。少なくとも俺には感じられない」
「主張って……人を殺すのにただの殺意以外の理由なんて……」
「藤間幸三郎にはそれがあった」
藤間にとっての殺しは単なる素材の下準備でしかなかった。
その点に関しては今回の事件と共通している。
だが、それ以外は遺体の飾り方がまるで違う。藤間ではない別の犯人の存在が見えてくる。
「知能が高くシビュラ判定は高収入の職業を割り当てられている。しかもかなり若い、もしくは精神年齢が低い人物……」
資料があるわけでもないのに、狡噛は推測を進めていく。
まるでこの事件の未来を予知しているかのように
「どうして…そんな……」
「プロファイリングもどき……監視官外出許可を申請する」
「え？それって私が同伴しないと」
「だからついて来いと言っている」
少し自信が溢れた狡噛の笑みに、朱はなんだか嬉しくなってしまった。
―某所―
車に揺られて見たこともない場所に辿り着いた。
多くの潜在犯が収容されている施設のようだ。
ここから二度と出ることは許されない。
「来るのは初めてか？まぁ、足を運ぶ理由もないが」
「……でもこんな所に来て何を？」
「俺の直感が正しければ、今回の死体の加工にはきっと元ネタがある。だからその筋の専門家に話を聞くのさ」
厳重な金網を抜ければそこはもう潜在犯ばかりだ。
何か場合は通風口から毒ガスが出る仕組みで、この監房はいつでも処刑室になる。
辺りを見ると職員用の防毒マスクが壁に備え付けられていた。
「こいつらは外に出られたとしても、即効ドミネーターに処刑宣告を食らってミンチにされるだけの連中だ。生けていられるだけ檻の中の方がマシだ」
狡噛の言葉に納得するしかない。
更に奥の部屋に進む彼の後を追いかけた。
一部屋しか存在しない場所へ
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作者名：Mermaid | 作成日時：2017年7月28日 21時
