美しいものには刺がある。- 2 -

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「っ、な、なんであの子が！！」



___“何の才能もないただの邪魔者なのに！！”


ひとりの練習生の子が私に向けてそう言った。

そりゃそうだよね、自分でもわからないよ。
私は数多くの有名アーティスト達を輩出した誇り高きYG entertainmentの唯一の欠点。落ちこぼれで何をさせてもこなせない、何時追い出されるかわからない私が選ばれるなんて、本当はあってはいけない事なんだろうな...。

そう自覚はしているのに、心は素直なのか、荊のようにチクチクした言葉は私の心を蝕んで、ゆっくりと涙を誘ってくる。




「私も納得出来ません！！何故その子のように何の取り柄も無い子を選ぶんですか！？少なくともその子より有能な子達はこの中に何人もいます！もう一度考えてください！」

また別の練習生が勢いよくAさんにそう意見した。よっぽど興奮状態に陥っていたのか、オーラルからまず格が違うAさんでも、私を絶対に認めまいと食ってかかっている。

しかし相手が悪い。

その人は韓国の芸能界を背負って立つと言われている選ばれた子で。私達のように知名度も何もない練習生が食ってかかったって何の意味もない。




「じゃあ、貴方はチェウォンさんのようにダンスを完璧にコピーすることが出来るんですね？」

「っはぁ、...？あんな子にダンスを完璧にコピー出来る訳ないじゃないですかっ」

「...情けない。チェウォンさんの才能に1人も気付けていないなんて、余程このクラスは自分中心の方が多いんですね。競争心を燃やすのは良いことですが、思いやりを持ってやらないと誰なって逃げたくなりますよ？」



「っ！」



驚いて言葉が出ない。

どうしてAさんのように凄い人が私の肩を持つのか。...完璧なグループを作るなら私の様な底辺は足下にも及ばない筈。

なのに、どうして。


あなたはそんなにも私を心強い気持ちで満たしてくれるの...？

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