売り物 ページ3
粗末な部屋と、服。
重い足枷と、首輪。
首輪には値札がついてあった。
理解ができないまま、その部屋に放り込まれた俺は、毛布にくるまっていた。
頭の整理がつくと、何があったのか嫌でも理解できた。
父さんが、殺された。母さんが、拐われた。
帝国に、壊された。
それからは涙が止まらなかった。
長年培ってきた幸せが、一瞬で壊された。
これから、俺は、どうなるんだろう？
その答えはすぐに知ることができた。
部屋のドアが、開いた。
そこから入って来たのは、きらびやかな服を来た小太りの中年男性。
俺を見るなり獣のように舌なめずりをした。
これだけでもう何をこれからされるのか、全て悟った。
思わず悲鳴をあげた。
毛布を投げて男を押し退け、部屋から出ようとした。
しかし、それを予測していたのか、部屋の入り口には別の男がいた。
｢売り物が失礼しました｣
しゃがれた声。
そしてベッドに投げ飛ばされる体。
ドアの閉じられる音。
服を脱がされた後、拘束具で体をベッドに固定された。
そして後は言うまでもない。
自分の声だと思いたくないほどの嬌声。
問答無用で襲ってくる快楽。
体を男の思うがままに変えられていく。
泣いても喚いても終わらない地獄が毎日続いた。
今はもう何とも思わないが裏とはこう言うものだと知った。
代わる代わる抱かれ、慰み物になった。
それも性別関係なく。
頭がおかしくなりそうだった。
いや、実際おかしくなってはいたんだ。
慣れるのはまだかと、必死にシーツを掴んで、唇を噛み締めた。
そんなあるとき管理人が俺の部屋のドアの鍵をかけ忘れた。
半開きに開いたドアから差し込む光は希望の様にも見えた。
気がつけば重い足を動かして部屋の外へ出ていた。
深夜で更に皆お楽しみだったせいか、警備はがら空きだった。
管理室に行ったがやはり誰もいなかった。
管理人もお楽しみらしい。
足枷と首輪の鍵を使ってそれを取り外し、更にいくつかの金袋を拝借して、ここを出ることにした。
けれども、そのとき聞いてはいけないものを聞いてしまった。
喘ぎ声が聞こえる。
それも、聞き慣れた懐かしい声。
まさか、そんなにはずない。
でも俺は、その声がする部屋へ走っていった。
そして、その部屋のドアを少しだけあけた。
見えたのは、ベッドの上で乱れあう男女。
あの小太り男と母親だった。
咄嗟に口を押さえた。
そして、ひたすら出口へと走った。
こんなの嘘だ。嘘であってくれ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 161人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヤンデレ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
手ふぇち - 待っっっって・・・めっちゃ好き！！！ヤンデレサイコパス最高！！！！！！ (2021年9月19日 20時) (
レス) id: e31fa55851 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - ルヴァンネさん» ルヴァンネさん自身も忙しいですものね。無理せず、これからも続けてくださると私的には幸せです。返信どうもありがとうございました！ (2018年10月27日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - ましろさん» いいえ。人形師自体はまだ続きます。あと２回３回くらいで完結になるかと思いますが、現在は未定です。 (2018年10月25日 12時) (レス) id: d6627a81ed (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - こんにちは。人形師に魅了され、以前から他作品も楽しく読まさせていただいている者です。質問なのですが、人形師シリーズが完結になっているのは、もう続編は作らないということでしょうか？人形師シリーズが好きすぎる故、気になります。 (2018年10月23日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
通草 - 人形師筆頭の男子のギャグ… 見たい (2018年8月19日 21時) (レス) id: 499fedeecd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ルヴァ子 | 作成日時：2018年8月9日 12時
