人の時【睦月】 ページ4
・・・・・・すみませぬ。それは後々語るとしましょう。
時は飛んで、恐らくあれは、八年ほどたった睦月の出来事・・・・・・
月光を見つけた少女に、月のものが来たのです。ええ、大人に成ったとも言うでしょう。
村の者は大層喜び、赤飯を用意いたしました。
しかし、月光はそれを知らなかった故に、また、病か呪いかと騒ぎましたよ。
大人の仲間に成ったことを伝えれば、彼も彼女を祝いましたが。
が、もしかしたら、彼はそれにどこか寂しさを覚えたのかもしれません。
私はあの夜、月光が夜遅くまで起きていたことを知っています。
あの、もの言わぬ【もの】の時のように、自分の本体たる花札を、ただ見つめていた事も。
彼は、年を取らない自分の肉体をどう思ったのでしょうか?
彼はいつも通り、彼女に接していました。
しかしあの日から、彼女を見るその目が、どうしても私には寂しげに見えて、仕方がないのでございます。
そして、月光は肝心な事を知りませんでした。
そして、我々もそれを伝えるのを忘れていたのです。
月光には、分かりませんでした。
人や我々には寿命があること。
人の寿命は短いこと。
寿命を終えた生き物には、死が訪れること。
死んだ生き物は、人は、生き返らないこと。
そして、もう二度と会うことができないこと。
月光は不思議がっておりました。
なぜ、赤子が立って、喋れるようになるのか。
なぜ、月のものが来るようになったのか。
なぜ、人の顔には皺が刻まれるのか。
これが寿命の短さを伴う成長であることを、月光は知りませんでした。
彼は、言葉を【学習】はしましたが、成長などしておりません。
髪や爪が伸びたわけでもなく、背が高くなったわけでもなく、声変わりしたわけでもありませんから。
月光には、分からなかったのです。
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リリー(プロフ) - ルヴァンネさん» 返信遅れました...ふ、フロチャでもう一回ですか!?あ、ありがとうございます!楽しみに待ってます! (2019年11月1日 19時) (レス) id: 74e525c1b3 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - リリーさん» これはあくまでプロローグ扱いなので、貴方様のリクエストはフロチャで再度消化させてください・・・こちらは夢主表現も曖昧なので・・・ (2019年10月20日 20時) (レス) id: c124615dbe (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - わあああああぁぁぁぁありがとうございますうううううぅぅ!!!リクエストお答えしていただいて、ありがとうございました!(*^^*) (2019年10月20日 20時) (レス) id: 74e525c1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2019年10月20日 18時