どうしようもない ページ7
『──どうしようもない』
ポツリ、とアイツはそう呟いた。
逃げた。
5年間、こうやって、ずっと、怯えながら。
逃げた。
あの、美しい人形師から。
人に囲まれているときが、1番安心できて、独りでいるときが、1番怖かった。
アイツのその時の声は、すごく震えてた。
けれども、アイツは泣かなかった。泣けなかったのかもしれない。
馬車はいつの間にか、港についていた。
そしてすぐに馬車を降りて、その馬車ごと町に捨てて、俺たちは行き先も見ずに、船に乗った。
・・・・・・そうだ、行き先も見ずに。
なぁ、もし、行く末ってやつが始めから決まってたら『逃げる』なんて無駄じゃないか?
その時、俺はそう思った。
だってこの船、この宗教都市行きだった。
行き先を見なかった俺たちも悪いが、あの時、すぐに出航できる船はこれしかなかった。
けどアイツは、都市の姿が見えるまでそれに気づかなかった。
ずっと顔を隠して俯いてた。
恐怖で、トラウマの街に着くまで、気づかなかった。
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ゑごま - こんな素晴らしい作品を作ってくださり、本当にありがとうございます!!ヤンデレって良いっすね… (2021年7月17日 22時) (レス) id: 4d2c5a9f36 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァ子(プロフ) - ゑごまさん» こちらこそお読みいただきありがとうございました!他の作品も楽しんでいただけると幸いです。 (2021年7月16日 5時) (レス) id: feb2492136 (このIDを非表示/違反報告)
ゑごま - 全部読みきってしまった…!フロチャも全エンド回収してしまった!そして今はショタだけでなくヤンデレにも目覚めた!どうしよう、作者さん神すぎる。感謝しかないんだが。さあ、もう一周してから他の作品も見に行こう (2021年7月15日 23時) (レス) id: 4d2c5a9f36 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァ子(プロフ) - ピーナッツさん» こちらこそお読みいただきありがとうございました!神作品と言ってくださりありがとうございます! (2021年7月15日 21時) (レス) id: feb2492136 (このIDを非表示/違反報告)
ピーナッツ - 良すぎて...やばいです!このような神小説を作ってくださり本当感謝です!! (2021年7月15日 19時) (レス) id: 362c37f779 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2019年9月12日 10時