複雑な匂い ページ7
慌てて支えようと手を伸ばすも、Aさんは足を一歩前に出して踏みとどまった。
Aさんからは辛そうな匂いと、焦ったようなそんな匂いがしてくる。
｢Aさん！大丈夫ですか？｣
『う、うん。大丈夫だよ。さ、家までもう少しだし、早く＿＿＿善逸？』
再び歩きだそうとするAさんの着物の袖を、善逸が引いて動こうとしなかった。
心配そうな匂いが、俺の鼻をつく。
それは伊之助からも漂ってきていた。
｢…Aさん。俺達確かに年下だし、あなたより遥かに弱いし、頼りないかもしれないけどさ？辛いなら辛いで頼ってくださいよ。
そんな悲しそうで辛そうな音出すくらいなら、せめて俺達にくらい話してくださいよ。｣
そう言ってAさんを見つめる善逸の目には、涙が溜められていた。
それを見たAさんは困惑しているのか、少しだけあたふたした後に、善逸の頭を優しく撫でた。
『ありがとう、善逸。でも大丈夫だから。君達も疲れてるでしょう？ほら、早く帰ってご飯食べよう。』
Aさんは結局、俺達に頼ろうとはしなかった。
善逸の言葉を聞いた時、Aさんからは嬉しそうな匂いや、様々な匂いが混ざりあっていた。
複雑すぎて、俺にも分からないような匂い。
善逸の耳には、どう聞こえていたんだろうか。
覚束無い足取りで歩いていくAさんを、俺達は後ろから支える。
『…ごめんね、ありがとう。』
小さく呟かれたその声に、俺は何故か泣きそうになった。
Aさん。俺達は謝ってほしいんじゃないんです。ただ、ただ頼ってほしいだけなんです。
このまま誰にも何も言わず、いつか消えてしまいそうだと感じるほど、Aさんからは深い悲しみの匂いがする。
お面をつけてて表情は読み取れないけど、きっと辛いはずなんだ。
誰よりも優しいあなたが、どうしてこんなにも酷い扱いを受けるのか。
それは分からないけど、俺達だけでもあなたの味方になりたい。
『さて、ご飯の準備してくるから、居間で待ってて。すぐに持っていくから。』
｢ありがとうございます。｣
『あ、あと、私の家では禰豆子ちゃん出しても大丈夫だよ。陽の光入ってこないから。』
家に着くとそっと俺達から離れ、まだ頼りない足取りで台所へと歩いていった。
俺達は居間で待つ中、一言も会話をすることができなかった。
聞きたいことは山ほどある。
聞いたところで俺に何か出来るかなんてたかが知れてるけど、話してはくれないだろうか。
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アマリス(プロフ) - この夢主、魔法少女になったら真っ先に魔女化するな。で、人間体は死んで、魂ごと消えるあれですけど、まあそうなればみんな幸せなんでしょうね。夢主は魂ごと消滅するんですから。本当にそうなったら、どうなるんでしょうね。 (2022年5月22日 20時) (
レス) id: 7d0074fb6d (このIDを非表示/違反報告)
ふじか(プロフ) - 更新楽しみに待っています！ (2021年9月29日 10時) (レス) id: ae671ca5ff (このIDを非表示/違反報告)
*つむり* - すごく面白いです。小説の書き方とかも、すごく参考になります！続きが気になります……といったらプレッシャーになるかもしれませんが、応援してますので、気を詰めずに自分のペースで頑張ってください！ (2021年5月3日 10時) (レス) id: a3e5e92948 (このIDを非表示/違反報告)
リタ - とても面白かったです！ (2021年2月25日 19時) (レス) id: 800a931bab (このIDを非表示/違反報告)
ほたる - 下に同じくもっと伸びるべきだと思います！ゆっくりで良いので更新頑張ってください！体調にも気をつけてください！ (2021年1月7日 18時) (レス) id: bff8d73ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年11月14日 12時
