金色の瞳に映るもの。【暗殺教室】【銀魂】

努力と克服 ページ43

おそらく、皆息を飲んで二人のやり取りを見ているのだろう。


私は結果が目に見えているわけではないが、イリーナ先生は努力をしているってことは知っているため、少なくとも悪い結果にはならないだろうと思う。


先生が昨日言っていた、"相性が悪いものは逃げずに克服する"という言葉。

それは自分がそうだからこそ、出た言葉なのだろう。そうじゃなければ、そういう言葉はポンポンと出てきはしないはずだ。


"克服した"からこそ、今こうして、堂々と真正面から烏丸先生に挑んでいるんだ。


イリーナ先生は本当に、ここの生徒達にとっていい手本だねィ。


一見、イリーナ先生は烏丸先生に色仕掛けをしているように見えるが、実際他に手は打ってあるのだろう。

色仕掛けはある意味フェイク。それにまんまとハマっているのは烏丸先生だ。


私は菓子パンを一気に食べ終えると、こっそりと陰で見ている殺せんせー達の元に降り立った。


｢おや、鬼山さん。また屋根の上で食事ですか？たまには教室で食べるのも良いですよ。｣

『いや、今日はそうもいかないんでさァ。ちょっと墓穴掘っちまいやして。そんなことより、今は彼女でしょう、殺せんせー。』

｢ええ、そうですね。ところでロヴロさん。イリーナ先生の授業を聞いていましたね？

苦手な発音からまず克服していくのが彼女の流儀。実際、彼女の日本語も驚くほど流暢です。


外国語を覚えるのは挑戦と克服の繰り返し。十ヶ国語を克服した彼女は…未経験だった教師の仕事すら、臆せず挑んで克服しました。


そんな挑戦と克服のエキスパートが…ここに来てから何もしていないと思いますか？｣


そう言って先生が差し出したカバンの中には、ボロボロの汚れた服や、ロープが沢山入っていた。

これを見ただけで、彼女がどれだけ努力したか分かるだろう。


目線を元に戻せば、これらを使って練習していたであろう、ワイヤートラップを成功させていた。

このままいけば殺れる。そう思ったのだが、流石は烏丸先生。ナイフをすんでのところで受け止めた。


が、結局折れたのだろう。烏丸先生は手を離し、ナイフを当てさせてくれたのだ。


『少しは考え改めやしたかィ？おっさん。』

｢…ああ。君の言う通り、見えていなかったようだ。｣


それからイリーナ先生は、先生でもやっていた方がマシだと、ロヴロなりの優しさを受けここに残れることになった。


"努力は裏切らない。"


真っ直ぐなイリーナ先生には、この言葉がピッタリだろう。

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