39 向いているのかいないのか ページ40
「大変だったのね、今迄。」
憐れみの目で此方をみてくるミッドナイトさん。何で？
「大変じゃなくない？たしかに普通の人生じゃないけど私は後悔はないし、普通の人間よりずっと幸せだと思うよ？」
「どうして？だって、12歳から人を殺していて、接物だって無理矢理して。
人を殺すときって嫌悪感は少なからずあるはずでしょう？」
「でも人を殺すのに躊躇がない人間も、人を殺すのに慣れる人間もこの世にはいるでしょ。
私は人を殺すときに快楽を覚える質だった。
だから幸せよ？」
目が合う。何も言わない、しゃべらない。ただ目を合わせて二人で黙る。
「ねえ。」
ミッドナイトさんが私の手を取る。
温かい手だ。最近人肌に触れた記憶がない、まァ仕事だし。
仕事だらけで人肌とかなかったし。
「ヒーローに成りなさい。ヒーローに、成りましょう。」
「・・・え？」
此の人は何を言っているんだろう。
先刻私がどれ程ヒーローに向いていないか分かったはずじゃないの？
「いい？確かに貴方が人殺しに快楽を覚えるのかもしれない。仕事は楽しいのかもしれない。
でもね、貴女からその2つを取ったら何が残るの？
只疎まれ嫌われ恐れられる殺人鬼が居たってだけなのよ。
本当の意味で必要とされてないわ。」
「私は必要とされてるよ。仕事で、職場で。」
「利用価値があるからでしょう？」
ミッドナイトさんの手を握る力が強くなる。
どうしてこの人はこんなに真剣な顔でこちらを見るのだろう。
「貴女という人間を必要とはしてないじゃない。
此方にはきっといる。貴女という人間を必要とする人が。」
「必要とされてるされてないじゃないんだよ。」
どうして私が必要とされたいと思っているように言うんだろう。
意味がわからない。
私は始めから必要とされてないのに。
「私は犯罪者がいいの。誰かの為に自分を犠牲にするだなんて真っ平ごめん。
それで何が残るの？私は自分の為に、自分の力を使う。
だからヒーローにはならない。」
可哀想なんかじゃないよ、私は幸せだもの。
お父さんとお母さんに見守られて、邪魔者はいなくて。
楽しく悲鳴を叫びを血飛沫を浴びて生きてきてるのに。
そんなに私は可哀想？
「ヒーローになりたい理由はないし、ならない。私はヨコハマに帰るだけ。」
帰ってもとの私になるだけ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 551人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アヤ(プロフ) - ロンさん» マジですか！？書き直します！ (2018年5月5日 15時) (
レス) id: aea21ba90e (このIDを非表示/違反報告)
ロン - あれ…相澤先生ってミッドナイトに敬語使ってたはずじゃ… (2018年5月5日 15時) (レス) id: 96ff2658c5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
