46 星空 ページ47
夏は日が沈むのが遅くて。中原くんの姿は夕焼けの逆光で見えなくなる。
手が届かなくなるような錯覚を覚える、黒。
「嫌なら辞めればいい。やりたい事が分かンねェなら分かるまで探せばいい。手前ェがどういう心境で仕事して、どういう環境に居たかなんて俺は知らない。だから手前ェにとっての最善なんて分かンねェよ。」
分からないなんて言うくせに、放り投げないところが。分からないなんて言うくせに、投げ出さないところが。
きっと彼の優しさだった。
「だから死ぬな。」
そんな当たり前のことは、分かってる。
「どっち側に行こうが死ぬな、絶対に。手前ェが奪ってきただけ生きろ、死ななきゃ人生何とかなンだよ。
居場所なんて幾らでも作れる。夢も未来も幾らでもある。」
だから生きて生きて生き続けて、自分の在り方は自分で決めろ。と。
逆光越しでも笑っていると分かるような、感じで。彼は笑う。
何故か無性に懐かしくて、死ぬなと言われたのは初めてだった。当たり前すぎて言われない言葉。死んでしまえとか、いなくなれとかそういう言葉ばかりの中で唯一貰った、居てもいいという言葉。
「何格好つけてんの。」
ばァか、と吐き捨てる。それでも、涙は止まらない。きっと笑いすぎて涙が出てるんだ。彼の真剣さが面白すぎて。
「結局解決にもなんにもなんなかったしィ、中原くんに聞いても無駄だッたなァ。」
「言ってろ阿呆。」
そして、ゆっくりと私は立ち上がった。なんだか一日で何十時間も過ごした気分だった。少し足が痛くて、胸が痛かった。之からどうしようとか。そういう事を考える気が。何故か失せていった。
「ン。」
滲んでいた涙を中原くんに拭い取られて、私は思わず呟く。
「セクハラ最低。」
「手前ェに気遣いは不用ッてことだな。」
少しだけ私は笑って、笑って。彼の目を見つめて、彼に向けて笑って。
「ありがとう。」
彼は目を見開いて、少し目を逸らして、もう一度私の目を見て笑った。
「じゃァな、A。」
此のまま彼とはサヨナラだ。私はヒーロー志望の学生に戻るし、彼はマフィアに戻る。其れだけの事だから。
だから、私は彼の後ろ姿に向かって叫んだ。
「私ッまた会いに行く！！！絶対にヨコハマに帰るからッ！！！」
あとお酒返すッ！！！と私は叫ぶ。中原くんはそれを聞いて振り返り、叫んだ。
「盗んだの手前ェかよッ！！！」
そして私は。
彼に聞こえないようもう一度、ありがとうといった。
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アヤ(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます！平ちゃん可愛い、久々に言われました…！無理せずしっかり頑張ります！ (2018年12月27日 18時) (
レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎 - すごい！この作品！とても好き！すんごく面白いです！！中也さんがかっこよくって平ちゃんが可愛くて…もう…もう！応援してます！無理しないで頑張ってください！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - ヒバリさん» ありがとうございます！かっこいいと言っていただけると安心します…かっこよくかけてるか不安になるんですよねー。これからも更新頑張ります！ (2018年12月23日 20時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ヒバリ - ちゅーやさんちょっとイケメンすぎやしません？アヤさんのちゅーやさんかっこいいです！これからも更新楽しみにしてまふ。 (2018年12月23日 14時) (レス) id: 60878f7a2d (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 本の虫さん» ありがとうございます！完全な個人のプライベートで番外編やってすいません、これからも頑張ります！ (2018年11月6日 0時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
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