30 夢見てバットエンド ページ31
耳を裂く喧騒がうるさくて顔をしかめながら巨大なペロペロキャンディーをなめ、スマホを弄りながら彼を待つ。いつもと違う髪色と瞳で出会ったのなら、どんなリアクションをしてくれるだろう。
栗毛色のツインテール(ウィッグ)に髪染め用の毛染めグッズ、新しい化粧品にグレーのカラコン。服装は黒襟の白シャツ風タンクトップに紺色のサロペット。毛先が薄い赤なのと沙羅双樹のヘアピンで気づくかなァ、気づかないかなァレベルのヒントを出しておく。
震える携帯電話のメールに返信し、時計台前にいると伝えた。気づかなかったら爆笑してやろうと思う。取り敢えずあのスーツ姿は暑苦しいし嫌だなァと考えていたのだけれど
「お姉さん今一人？」
「おお俺らとお茶しませんかっ！？」
何故変態コンビが目の前でナンパしているのか。
(時間被ッちゃッたかァ！！！被っちゃったのかァ！！！)
平静を装って飴をなめる。落ち着けばれてない、多分他のクラスメイトもいると思われるし八百万が一番会いたくない。一瞬だろうけれど顔ににでてしまう。
そんなことを考えていると変態コンビと目があった。不味い、と思う。二人は耳打ちしながら私の方を見て満面の笑みで近づく。そして口を開き
「お姉さ」
「紛らわしい格好してんじゃねェよ。」
被っちゃったかァと此方も思う。耳に響く低めのテノール。首に橙色のかかみくすぐったい。
これガチギレではないだろうか、うんガチギレですねェいやまァ確かに私は変装していることを事前に伝えていなかったから右往左往してる中原くんを楽しもうと思っていたのに。
「あー、はいごめんなさ」
「言い訳はあとだ来い。」
「ちょ、ちょ中原くん！？ガチギレルートじゃないですかァ、ねェッてばァ！」
グイグイと手を引かれ溜息をはいた。ちょっとした出来心だと言うのになんて残酷なことを。
「あ？30分探したんだぞ巫山戯んな。」
「いやたかがさんじゅいひゃいいひゃい引っヒャらにゃひへ！」
抵抗は許さんとばかりにつままれた頬が少しいたい。けれどなんだかこの光景が久々で懐かしい。
「何笑ってんだよ、ッたく・・・」
「あはは、ひ、み、つでェす。」
中原くんがため息を吐く。私より少し低い彼の背中が何年ぶりに見たみたいな感覚に陥る。
初めて此処に来たときの不安感と孤独感と焦りはもうない、私の上司と元上司が居るのならきっと戻れるだろう。
触れた手の暖かさに、何だかとても安心した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アヤ(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます！平ちゃん可愛い、久々に言われました…！無理せずしっかり頑張ります！ (2018年12月27日 18時) (
レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎 - すごい！この作品！とても好き！すんごく面白いです！！中也さんがかっこよくって平ちゃんが可愛くて…もう…もう！応援してます！無理しないで頑張ってください！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - ヒバリさん» ありがとうございます！かっこいいと言っていただけると安心します…かっこよくかけてるか不安になるんですよねー。これからも更新頑張ります！ (2018年12月23日 20時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ヒバリ - ちゅーやさんちょっとイケメンすぎやしません？アヤさんのちゅーやさんかっこいいです！これからも更新楽しみにしてまふ。 (2018年12月23日 14時) (レス) id: 60878f7a2d (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 本の虫さん» ありがとうございます！完全な個人のプライベートで番外編やってすいません、これからも頑張ります！ (2018年11月6日 0時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
