19 苦々しいほど青い春 ページ20
「おー、解放感あるねェー！」
ぐっ、と私は空を見上げながら背伸びする。雄英高校の屋上は飛び降り防止のためかしっかりと鍵がかかっていた。
そもそも屋上に行くためにはかなり階段を上る必要があるので行く人がいないだろうし、自 殺するにしても態々この場を選ぶことはないと思う。
だからか、屋上は綺麗な錠前が一つ、掛かっていただけだった。
「さっきのってあれだよね、ピッキング。」
心操くんに言われて、私は頷いた。ポートマフィアで習ったことの一つでもあるピッキング。もう慣れたもので、ヘアピンが二本もあればちょちょいのちょいだ。
「サボッて飲む炭酸ッ！喉に染み渡ゲホッ！」
ぐいっと炭酸を飲めば蒸せ返ってしまった。隣に座った心操くんが笑いながら背中をさすってくれる。
「ゲホッ、ありが、ケホッ、とー。」
少し涙目になったので、拭いとった。相変わらず彼は爆笑している、殴りたい。
「授業サボって、屋上まできて、むせるとかははッ！」
苛々したので私は嫌味を突きつけた。
「うッわァ、モテないよ？」
「知ってる。」
思いの外自覚があったようでモテモテ美少女は残念です。
と思いつつ私は空を眺める。ゆっくりと動く雲、それでも青は変わらない。眩しい日差しが私を照らしていて、夏を感じさせる。
そんなとき、彼から耳を疑う発言が飛び出した。
「あと、ヒーロー科は他の科目より一時間多いから、俺はサボってないよ。」
「・・・何ですとッ！？え、まって初耳！何それェ！？」
此れ、私しか怒られない方向じゃんと溜め息を吐く。道理で窓の外を眺めていると下校している人がいるわけだ。早退かと思っていた。
「お疲れ様です。ご臨終でした。」
「言わないで、現実見せないで。」
そんな軽口を叩きつつ、私は炭酸飲料の最後の一口を飲みきり、缶を放り投げた。カランコロン、と屋上をそれは転がっていく。
「暑いねェ、コンクリヰト。」
「ならなんで屋上。」
「気分だよ。」
こういう時って、普通なら告白か野外プレヰだな、と考えていたとき。
そんなときに、心操くんは切り出した。
「・・・平って人殺したことある？」
「ないよ。」
その予想外の質問に、私は即答した。何度も殺しているけれど、殺していないふりをした。
隣にいる彼が何を考えているかわからない。
「でもねェ、きっと此れから殺すよ。」
分からないから笑った。当たり前の事を聞いてくる彼がおかしくて。
空が、無性に青かった。
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アヤ(プロフ) - ペンギン太郎さん» ありがとうございます！平ちゃん可愛い、久々に言われました…！無理せずしっかり頑張ります！ (2018年12月27日 18時) (
レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ペンギン太郎 - すごい！この作品！とても好き！すんごく面白いです！！中也さんがかっこよくって平ちゃんが可愛くて…もう…もう！応援してます！無理しないで頑張ってください！ (2018年12月27日 17時) (レス) id: a451b06430 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - ヒバリさん» ありがとうございます！かっこいいと言っていただけると安心します…かっこよくかけてるか不安になるんですよねー。これからも更新頑張ります！ (2018年12月23日 20時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
ヒバリ - ちゅーやさんちょっとイケメンすぎやしません？アヤさんのちゅーやさんかっこいいです！これからも更新楽しみにしてまふ。 (2018年12月23日 14時) (レス) id: 60878f7a2d (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 本の虫さん» ありがとうございます！完全な個人のプライベートで番外編やってすいません、これからも頑張ります！ (2018年11月6日 0時) (レス) id: 16b8101627 (このIDを非表示/違反報告)
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