Bijoux＿histoire

emerald国―不自然編― ページ5

13日の12時頃、シキャッドは目覚めた
『うわっ、もうこんな時間！？に、兄ちゃん！』
近くにシスフェットがいないことがわかる
『兄ちゃーん？…兄ちゃーん！！』
大きな声を出してみるが、シスフェットの返事はない。
『ど、どうしよう…兄ちゃんがいないと動けない…』

――――シキャッドは、目が見えていない。

―――――――――――――――――――――
13日の1時頃、シスフェットは目覚めた
『うわ、まだこんな時間！？シキャッドはまだ寝てるか…うーん、どうしよう…』
シスフェットはなかなか眠れなくて、リビングの方へ向かう。
扉の隙間から光が漏れていた。
中を覗くと、
母親………女王と召使い達が集まって、
なにやら話をしている。
『…何を言ってるのかわかんないや』

――――シスフェットは、耳が聞こえない

けれどお互いのことは見えていて、
お互いの声は聞こえている。

旅人にもらった菓子パンを食べてから、こうなってしまったのだ。
――――――――――――――――――――――――
『母上！！母上！！！！』
シスフェットはそう叫びながら女王の部屋に入る
『母様…！！！！』
シキャッドも続いて入る。
部屋の隅のベッドには、苦しんでいる女王が眠っている
『母上になにがあったの！！？』
シスフェットが召使いにそう聞くと、召使いは
『わからないんです。』と答えた。
女王はゆっくりと目を開け、女王の顔をのぞき込んでいたシキャッドの耳元で「ラネン」と呟いた。
『ラネン…？』
シキャッドは女王の言葉を繰り返し、不思議そうな顔をした
『シキャッド？』
シスフェットはシキャッドの顔を心配そうに見つめ、女王に目を向けた
『…母上、その指輪は…』
女王の左手の親指には、白い宝石のついた指輪がはめられていた。
女王は口をパクパクとさせたが、次第に動かなくなった。
『母上ッ…母上、！？』
シスフェットはボロボロと大粒の涙を流して泣いた
シキャッドはそんなシスフェットの声を聞いて、涙を流した。

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