お家デート ページ9
約束の週末
『……おじゃまします』
玄関をくぐった瞬間、ふわっと広がる落ち着いた香り。
シンプルな家具に、落ち着いた色の照明。
無駄のない配置とさりげない観葉植物。
──まさに「おしゃれな大人の部屋」って感じだった。
『なんか、想像以上に……素敵な部屋ですね』
景瑚「ほんと？嬉しい。今日はリラックスしてって」
キッチンカウンターの奥から手を振る景瑚さんに、思わず顔が熱くなる。
ご飯は済ませてきたから、お風呂を借りていい？と聞くと、
景瑚さんは「もちろん」とタオルとバスセットを用意してくれた。
浴室に入ると、どこか甘くて落ち着く香りのシャンプー。
パッケージも、いかにも“大人の男性”って感じのボトル。
(……これ、景瑚さん使ってるやつ……)
なぜかすごくドキドキして、
顔まで真っ赤になってしまいそうだった。
シャワーを終えて、用意してもらった部屋着──
スウェットとショートパンツに着替えてリビングへ戻る。
景瑚「おかえり。はい、お菓子とお茶」
『わ、ありがとうございます……』
テーブルにはクッキーとチョコ、紅茶が用意されていて、
ソファの前には大きなテレビと、再生準備された海外アクション映画のメニュー。
『これ、観たかったやつかも』
景瑚「アクション系ってどうかなって思ったけど、好き？」
『好きです！』
景瑚「よかった。じゃあ始めようか」
2人並んでソファに座って、映画が始まる。
ポップコーンじゃなくて、チョコをつまみながら静かに観ていたけど──
途中、ふとしたタイミングで、景瑚さんが私の名前を呼んだ。
景瑚「……Aちゃん。おいで」
『……え？』
景瑚はソファに軽く背を預けながら、
自分の足の間をぽんぽんと叩いた。
『……そこ……？』
景瑚「うん、そこ。……ぎゅーしたい」
顔が一気に熱くなる。
でも、ことばにされると逆らえなくて──
私はそっと景瑚さんの足の間に座った。
背中を包みこむように、
彼の腕が私の肩とお腹のあたりをやさしく抱きしめる。
景瑚「……うん。落ち着く」
『……こっちは心臓が落ち着きませんけど……』
景瑚「いいじゃん。ドキドキするのもデートの醍醐味ってことで」
耳元でそう言われて、
もう映画どころじゃなくなっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
えり(プロフ) - あぁーもうドキドキが止まりません♡ (5月12日 8時) (
レス) @page35 id: 059380a41a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はーと。 | 作成日時：2025年5月9日 1時
