ボスとJKの、その後。 (ページ8)

今日:1,042 hit、昨日:2,201 hit、合計:44,602 hit

・ページ8

『めちゃくちゃ似合ってる。
その笑顔、見れてよかった。おめでとう。』

景瑚さんからの返信を見た瞬間、顔が熱くなった。

(やばい……こんなん、ニヤけるしかない……)

ベッドの上でスマホをぎゅっと抱え込む。
少しだけ時間が経って、通話の着信が鳴った。

──景瑚さん。

『もしもし』

景瑚「おつかれさま。入学式、どうだった？」

『すごく人が多くてびっくりしたけど、楽しかった！
友達もできたし……写真、見てくれました？』

景瑚「見た見た。……いや、もう、めっちゃ可愛かった」

『またそういうこと言う……』

景瑚「事実しか言ってないけど？」

ちょっと低くてやさしい声。
電話越しでも、景瑚さんの笑い声が耳に心地よかった。

『こっちはもう、ご飯も食べちゃったし、やることなくなって暇です』

景瑚「ん、そっか。一人暮らしって、意外と夜ヒマだよね」

『うん。なんか、やることあるかなって思ったけど、なかった』

景瑚「じゃあさ──今度うちで映画でも観る？」

『……え？』

景瑚「俺、けっこう映画好きでさ。家でゆるく観るのが好きなんだよね。
今度の週末とか、よかったらどう？」

『……いいんですか？』

景瑚「もちろん。何本か候補あるから、Aちゃんが好きそうなの選んで」

初めてのおうち。
しかも、景瑚さんの家。

『……ドキドキしてきたかも』

景瑚「ふふ。安心して、ちゃんと片付けて待ってるから」

『……楽しみにしてます。』

画面越しに会ってるわけじゃないのに、顔がにやけてしまって、
ひとりでスマホ抱えて転がってた。

こんなにうれしいのに。
「楽しみ」って言葉ひとつじゃ足りない。

心のどこかで──
“ちょっと特別な週末”が、もう始まっていた。