ボスとJKの、その後。 (ページ4)

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玄関のドアが閉まって、しばらく。
私はその場に座り込んだまま、ぼんやり天井を見上げていた。

さっきまであんなににぎやかだった部屋が、急に静かになって──
こんなにも広くて、こんなにも静かだったっけって思った。

初めての一人暮らし。
分かってたはずなのに、想像よりずっと心細い。

(大丈夫。私はちゃんとやれる。……大丈夫)

そう何度も頭の中で繰り返していた、そのときだった。

ピンポーン──

『……え？』

もう一度、玄関チャイムが鳴いた。

慌てて立ち上がってドアを開けると、そこにいたのは──
さっきと同じようで、でも少し違う景瑚さんだった。

景瑚「……ただいま」

手には、ボストンバッグとコンビニの袋。
服も変わっていて、部屋着に近いラフな格好になっていた。

『……え、なんで……？』

景瑚「……言わなかったけどさ。最初から、今日は帰る気なかった」

『でも、お兄ちゃん……』

景瑚「るっくんがいる間は、ちゃんとバイバイした方がいいと思って。
だから一回帰って、荷物取ってきた」

『……』

うれしくて、びっくりして、
その全部が胸の中でごちゃごちゃになって、何も言えなくなった。

景瑚「寂しかったよね？」

『……うん』

その一言が、喉からこぼれていた。

景瑚「俺も、なんか……今日は一緒にいたいって、自然と思ってた」

ゆっくりと玄関の段差を上がって、
そっと私の髪を撫でるように、景瑚さんの手が伸びてくる。

景瑚「無理しなくていいよ。俺がいる間くらい、甘えていい」

『……来てくれて、ありがとう』

ぽろっと落ちそうになった涙を誤魔化すように、私は顔をうつむかせた。

でも次の瞬間、景瑚さんの腕がそっと私の背中を包んだ。

景瑚「大丈夫。……今日はちゃんと隣にいるから」

静かな夜に、あたたかい体温が重なって。
その瞬間、私はやっと「ひとりじゃない」って思えた。