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夜の空気は、昼よりもずっと静かだった。
荷ほどきもひと段落して、床に敷いたラグの上で、私はペットボトルのお茶を飲みながら小さく息をついた。
瑠姫「だいたい終わったな」
景瑚「疲れたけど、完成すると気持ちいいね」
『うん。ふたりとも本当にありがとう。めちゃくちゃ助かりました』
私がそう言うと、景瑚さんは笑って「もっと褒めてもいいよ？」なんて軽く返して、
瑠姫くんは「褒めたら調子に乗るぞ」とすぐに突っ込んでいた。
3人でいる空気が、心地よくてあたたかくて、ずっとこのままでいてほしいと思ってしまう。
でも。
瑠姫「……そろそろ帰るか」
景瑚「うん、時間もちょうどいいしな」
その言葉が、ずしんと胸に落ちた。
『……そっか』
顔は笑っていたと思う。
でも心の中では、ずっと「帰らないで」って叫んでいた。
急に、部屋が広く見える。
さっきまであんなににぎやかだった空間が、ぐっと静まり返るのが想像できて、
それだけで背中が少し冷えた気がした。
『うん。じゃあ、駅まで一緒に行こうか？』
そう言って立ち上がろうとしたとき──
瑠姫「いや。……お前はもう今日は休め」
『え？』
瑠姫「疲れてるだろ。顔に出てる。明日からちゃんと自分で回さなきゃいけないんだから」
『……うん、分かった』
本当は駅まで一緒に行って少しでも時間を延ばしたかったけど、
その一言があまりに優しくて、何も言えなくなってしまった。
瑠姫「……じゃあ、俺は先に下行ってる」
玄関に向かう足音。
その背中は、どこか迷いを含んでいたけれど──きっと瑠姫くんには私の気持ちがバレてた。
全部彼のやさしさなんだと思う。
ドアが閉まり、ふたりきりになった。
景瑚「……じゃあ、俺も帰るね」
『……うん。今日は本当にありがとう』
景瑚「ううん、楽しかったし。……」
一瞬だけ、景瑚さんは何か言いかけてから、やめた。
でも最後に私の頭を軽くぽん、と撫でてくれて、
「じゃあね」と笑って玄関を出ていった。
──寂しい。
でも言っちゃいけない気がした。
わがままだって分かってるから。
玄関のドアが閉まる音が、今夜いちばん大きく響いた。
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えり(プロフ) - あぁーもうドキドキが止まりません♡ (5月12日 8時) (
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作者名：はーと。 | 作成日時：2025年5月9日 1時
