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『ごちそうさまでした。洗い物、わたしやりますね』
「いや、ええよ。今日は来てくれたんやし、座っとき」
『でも……』
「うちに来る時ぐらい、何も考えず甘えてくれたら嬉しいって思ってる」
そう言われると、素直に引くしかない。
わたしは小さく「……ありがとうございます」と言って、そっとテーブルから立ち上がった。
『じゃあ、お風呂先に入らせてもらってもいいですか？』
「もちろん。タオルそこにあるから使って。シャンプーとかも適当にどうぞ」
バスタオルを手に取り、脱衣所に向かう途中でふと、自分の荷物の中からあれを取り出す。
桃子と一緒に買った、お気に入りのボディスクラブとヘアミルク。
ちょっとだけ背伸びした香り。
でも今日は、ちゃんと使いたいと思った。
湯気が立ちこめる浴室で、ゆっくり髪を洗って、スクラブで丁寧に腕と脚をマッサージする。
慣れない空間なのに、なんだか不思議と落ち着くのは、さっきまで景瑚さんと笑ってたからかもしれない。
『はぁ……あったまった』
湯船につかって小さく息をついた時、ぽつりと心の中で思う。
(付き合ってるんだよなぁ、ほんとに)
今でもまだ、どこか夢みたいだ。
わたしのことを好きだって言ってくれる人がいて、一緒にごはんを食べて、こうしてお風呂まで使わせてもらって。
でも、ちゃんと現実で――ちゃんと大事にされてるんだって、少しずつ信じられるようになってきた。
お風呂から出ると、景瑚さんはソファでスマホを見ていて、わたしに気づくとふっと目を上げた。
「おかえり」
『お風呂、ありがとうございました。次、どうぞ』
「ありがと。のんびりしてて」
鏡の前でスキンケア。
化粧水、乳液、クリーム――順番どおりに顔を整えていく。
そのあと、香りを統一するようにボディクリームを手に取り、首筋や手首にすべらせた。
髪を乾かして、リビングに戻ると、ちょうど景瑚さんがバスルームへ向かっていくところだった。
『ゆっくり浸かってきてくださいね』
「ん、ありがと」
お互い、こうして気を遣い合ってる感じもまだ少しあるけど――
それがなんだか心地いい。
無理して距離を詰めるより、少しずつ自然に近づける方が嬉しい。
ソファに座って、クッションを抱きしめながら、
まだほんのり火照った頬に手を当てた。
(……緊張してるの、バレてないといいな)
でも、少しだけ。
今夜はちゃんと、甘えられる気がしてる。
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えり(プロフ) - あぁーもうドキドキが止まりません♡ (5月12日 8時) (
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作者名：はーと。 | 作成日時：2025年5月9日 1時
