ボスとJKの、その後。 (ページ13)

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「お腹すいた〜〜！！A、今日学食行く？それとも外？」

『学食行ってみたいかも。まだ入ったことないし』

「よし決まり！今日はラーメンの日らしいよ。情報通の桃子ちゃんに任せなさい！」

金髪ボブをゆらしながら、桃子ちゃんはニコニコと手を引いてくれる。
彼女はとにかく明るくて、話題も豊富で、一緒にいると自然と笑ってしまう。

食堂に向かっていると──

「あの、よかったら一緒にお昼どうですか？」

ふいに声をかけられた。

振り向くと、同じ学部の男の子ふたり。
たしか昨日の講義で見かけたような──爽やか系と、ちょっとチャラめな子。

「俺たち、昨日の講義取る予定で……もしよかったら」

桃子「あそうなの！？じゃあご縁だね！ね、いいよね？」

『え、あ、うん……』

一瞬戸惑ったけど、桃子ちゃんがすでにうなずいていて、
断るタイミングを逃してそのまま一緒に並んで席へ。

(まぁ、たまにはこういうのもあり……かな？)

＊＊＊

席について、ラーメンが来るまでの間。

男子A「2人ともめっちゃ有名だよ、可愛いって。学部内で話題になってるもん」

男子B「いやマジで。入学式のときから目立ってたし。彼氏いないなら希望ありかなーなんて」

桃子「え〜ほんと？ありがと〜！」

男子A「Aちゃんってさ、マネージャーの勧誘めっちゃされてたでしょ？めっちゃ似合いそうだもん」

『あはは……ちょっと声かけられただけですよ。あんまり向いてないと思うし』

男子B「いやいやいや、そんなことないでしょ。絶対人気出るタイプだよ」

『どうですかね。あんまり得意なタイプの人とは違う気がして』

笑顔はそのままに、でも、必要以上には踏み込ませない。

少し言葉を選んで返した。すると小声で

桃子「Aのそういうとこ好きかも。」

『え？なにそれ急に』

桃子「ううん、ただの感想。好きってだけ」

にこっと笑う彼女の目が、少しキラキラしていた。

(桃子ちゃん……やっぱりいい子だな)

男の子たちはなんだかんだ盛り上がっていたけど、
私は静かにラーメンの湯気を見つめながら、ふと思った。

──流されなくてよかった。
誰の視線よりも、ちゃんと好きな人の顔を思い出せるから。