ボスとJKの、その後。 (ページ12)

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お友達ページ12

新歓期間のキャンパスは、ちょっとしたお祭りみたいだった。

あちこちに出されたテントに、先輩たちの呼び込み。
手渡されるチラシ、差し出されるお菓子、突然の声かけ。

「マネージャー向いてそう！可愛いし！」
「運動部も文化部も両方歓迎！見学だけでも！」
「野球部、ぜひっ！」

歩いてるだけで、次々と声をかけられる。

(なんか全部馴れ馴れしくてちょっと嫌だな。)

スカウトじゃないけど、そんな気持ちで目を泳がせていたところに──

「Aー！」

手を振って走ってきたのは、桃子ちゃん。

桃子「ごめん、待った？あっちの音楽サークルのとこでちょっと引き止められてて」

『ううん、全然！私もなんかずっと声かけられてて……』

桃子「えー絶対それ、可愛いからだよ！てか、あの野球部の先輩もチラ見してたし！」

『……そうだった？気づかなかった……』

桃子「もう〜！ちょっとは自覚して？野球部、イケメン多かったじゃん。あの雰囲気の人たち、嫌いじゃないでしょ？」

『うーん……別に興味ないかも』

桃子「マジで？……ってことは、好きな人いる？」

その質問に、少しだけ言葉に詰まった。

『……いる、けど』

桃子「えっ！？ほんとに！？え、同じ学部？地元？」

『……地元、というか……』

桃子「彼氏！？彼氏いるの！？」

『……うん』

桃子「ひぇ〜〜〜〜早くない！？大学デビューじゃなくてもうデビュー済み！？やば！どんな人！？てか、年上？年下？」

『年上。すごく優しくて、甘やかしてくれて……でもちゃんと大人で、頼れる人』

そう言うと、桃子ちゃんはじっとこちらを見つめて──

桃子「やば、のろけじゃん。顔ニヤけてんじゃん」

『……にやけてないです』

桃子「してるしてる〜！絶対好きすぎて爆発するやつ〜！」

ちょっと笑いながらご飯に向かう。
この春、新しいことがたくさんあるけど、
どこかでちゃんと“変わらないもの”もあるのが、今の私の強さかもしれない。