186.懐かしい人からの便り ページ36
「兄上？どうかされました？」
縁側に座り自身の行動を反省していると、
千寿郎が心配そうに声をかけた。
「…いや、大丈夫だ！」
「…そうですか？あ、こちら兄上宛に手紙です。」
俺宛に手紙？
千寿郎から手紙を受け取ると差出人を確認した。
「華恵…」
そこには元婚約者の華恵の名前が書いてあった。
「確か西洋に渡られたのですよね。
自分の行きたい道をしっかり歩まれていて素敵ですね。」
意志の強い女性だった。きっと国の外に出ても、
彼女ならやっていけているのだろう。
「昼餉の支度ができました。
久しぶりにAさんと一緒にどうですか？」
Aと一緒に…
「ありがとう！しかし、少し事情があってな、
Aは今、俺とは顔を合わせたくないと思う。
俺はこの後、稽古の予定があるから
すまないが先にいただきたい。
千寿郎はAと一緒に食べてくれないか？」
千寿郎は訳を聞くことなく、
全てを受け入れるように「分かりました」と返事をした。
「…そうだ！千寿郎に土産を買ってきたのだった！
履き物が小さくなってきていただろう？
成長期はすぐに大きくなるからな！
玄関に置いてあるから使ってくれ！」
「そんな！？よくご存知で…！
ありがとうございます！大切に使いますね！」
どことなく切なそうな表情で縁側を去っていく
千寿郎の姿を見送ると、手元に目を移した。
そっと封を開けて手紙に書かれた文字を目で追い始める。
"杏寿郎さんへ
ご無沙汰しております。お元気でしょうか？
西洋に渡って長い月日が経ち、こちらの生活にも
慣れてきました。
実はご報告したいことがありますの。
私、結婚することになりました。
こちらの国の人で、優しくて情熱的で本当に良い人なの。
今はとても幸せな気持ちでいっぱいです。
今の私がいるのは、少し苦い思い出でもあるけれど、
少なからず杏寿郎さん、あなたのおかげでもあります。
人を真に愛するということ、
そのものをあなたを見て学びました。
Aさんとは順調ですか？
あの日、あなたは私に別れを告げにきたのでしょう？
振られるのは分かっていましたの。
だから彼女と一緒でなければ私は許しませんからね。
来年には一度帰国する予定です。
杏寿郎さんとAさんとお食事ができると嬉しいです。
それでは、お元気で。
華恵"
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 61人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます♡ いつもコメントくださり、本当励みになります！これからの煉獄さんサイドの展開もお楽しみくださいね！ (2023年2月3日 22時) (
レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - こんばんは。お疲れ様です☺︎すみません。私が早とちりしてしまいました。続きドキドキしますが楽しみにしてます。完結まで見守っていきますね！新作もその時はぜひ拝読させて頂きますね♪ (2023年1月25日 22時) (レス) @page50 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» 美桜さん、ありがとうございます♡ 私の書き方が悪くてすみませんが、続編はなく完結いたします！次に移行するという意味でした…！ただ、まだ確定ではありませんが、新作を少しずつ考えていますので…いつかお知らせできるといいです💭 (2023年1月24日 19時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
美桜 - 更新お疲れ様です！いよいよ完結ですね。最後まで2人の物語を見守っていきます。続編もあるとのことでそちらも楽しみにしてますね☘ (2023年1月23日 22時) (レス) @page49 id: 4bde5e03bb (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» 美桜さん！コメントありがとうございます。こちらこそ、本年もよろしくお願いいたします！更新を待ってくださる方が一人でもいてくださることが本当に幸せです。これからも、ときめく物語をお届けしていきますね！ (2023年1月6日 22時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：狐姫 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/kohime_yume
作成日時：2022年9月6日 22時
