アヤメのハンカチ【煉獄杏寿郎】

7.君誘う ページ7

青葉が生い茂り、


　青空に線を引く飛行機雲は俺の決心を固める。


　Aをデートに誘おう。


　誘って話をしよう…


　それでも思い出せないのであれば、


　俺は心に線を引く。


　また一から君との関係を築いていこう。


　そう決心した日、彼女はいつもより遅く出勤した。


　
「A先生、おはよう！

　今日はいつもより遅いな！」


「煉獄先生、おはようございます。

　ギリギリ間に合いました…！」


「どうした！夜眠れなかったのか？」


「いえ、寝られてはいるのですが、

　ここのところ同じ夢ばかり見ていて、

　それが気になってしまって…」


「夢？その夢がA先生を苦しめているのだな！

　どんな夢なんだ？」

　
　君のみる夢…一体どんな夢なのだろうか。

　君を悩ませるほどのものなのか。



「そうですね…

　でも、この話をすると長くなりそうなので、

　また時間のある時にでも！」


　ならば、時間を作っても構わないだろうか。

　これはデートに誘う絶好の機会だ。


「そうか…！なら、今週末、俺に時間をくれないか？」


「え！？」


「A先生、最近疲れているようにも見えるし、

　気分転換にも良いかと思ってな！

　あ、俺とが嫌だったら別にいいんだが…」


　断られてしまうだろうか。

　期待と不安が入り混じる。



「いやいや！ぜひっ！」


「そうか！それなら良かった！

　では、今週の土曜日、１７時頃はどうだろうか？」



「はい！空いているので大丈夫です！」



「では、土曜の17時、駅前の牧田カフェで落ち合おう！」



　君をデートに誘うことができた。


　君はデートとも思っていないかもしれないが、


　俺は胸が躍るほど嬉しい。



　すごく嬉しいんだ。




　これで最後。



　これが最後だから…


　
　どうか、思い出して…

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