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6.思い出のかけら ページ6

「A先生、これ印刷よろしくね。」

「はい!」



「A、すまないが、明日までに学級の生徒分の

 保健データを打ち込まなくてはならなくてな…」


「それなら、私がやっておきますよ!」



「A先生〜、痛いよ〜!

 もう俺の心は折れちゃったよ〜!」


「君は善逸くんだったよね?

 落ち着いて、こっち座って。

 一体何があったの?」



 Aが働き始めてから数ヶ月が経った。


 彼女は真面目で、

 一生懸命で、

 優しくて、

 たった数ヶ月でも周りから信頼されているのが

 よく分かった。


 でも、弱音を吐かずに何でもこなそうとする姿に

 俺は少しだけ不安を感じた。


 いつか壊れてしまうような

 そんな危うさがあった。



 相変わらず、


 どんなに名前を呼んでも


 声をかけても


 君を見つめても…


 

 君は俺を知らない君のまま。




 ある日のこと、


 Aが職員玄関で花瓶に花を飾っている姿を見かけた。



 あの頃の君の姿と重なってしまい…


 俺は思わず君の肩に触れてしまった。



「煉獄先生…?」


 Aの声で現実へと戻る。


 触れた指先から色を失っていく。



「…ごみがついていた。」



「そうでしたか。

 ありがとうございます。」



 優しく微笑むその笑顔に胸が苦しくなる。


 


 ああ、このまま君が思い出すことがないのなら


 俺はそっとこの思い出のかけらを


 一人、心の奥に仕舞い込んでしまおうか。



 また一から始めてみるのも良いのかもしれない…


 そんなことを考えながら、


 あっという間に1年は過ぎ去っていった。

7.君誘う→←5.思いを馳せる



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - misakimiさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます!様々な行動の裏の心情が少しずつ見えてくるかと思います!お楽しみくださいませ(*˙˘˙*) (2022年1月8日 13時) (レス) @page43 id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 煉獄さんの、自分の心の動きについていけてない純朴さたっぷりの初々しさよ。今日も素敵!一週間のご褒美戴きました! (2022年1月7日 22時) (レス) @page42 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 読んでいただけて嬉しいです!辛く悲しい気持ちがありつつも、彼女への愛は変わらないのです。彼の心情の変化を追いながら物語を楽しんでいただけたらと思います!いつもありがとうございます( ˊᵕˋ ) (2022年1月1日 16時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 大正時代の煉獄さんの心の動きが、はっきり分かりますね!今後、惚れていく訳ですから、読み返すと、更に煉獄さんの辛さが際立ってしまうのでしょうね。今から泣けそう。 (2021年12月31日 19時) (レス) @page34 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 前回コメントしてから時間無く、今日15話。うっわ〜、苦しい。煉獄さんの心情を慮ると、涙。愛を誓った人に知らない人扱いされる絶望感。怖いでしょうに、それでも前を向いて、進もうとするのですね。 (2021年12月31日 19時) (レス) @page15 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2021年12月13日 19時

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