国立三つ葉異能力学園！！ (ページ12)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:24,741 hit

#9 それぞれの思い(咲夜視点) ページ12

ルール説明が終わった。

残り5分の間に覚悟を決めなければならない。

…『殺し合いをして下さい。』…かぁ。
嫌だなぁ。人は殺したく無いなぁ。

私は少し泣きそうになるのを止めるために、上を向いた。

空は青く澄んでいた。

私達がこれからする殺し合いとは、正反対なその空に、私は少し腹が立った。

何で…殺し合いをしなきゃいけないんだろ？
どうして？

なら、殺し合いをしなければいい。
ただ、それだけの話だ。
だけど、咲夜はそれを選ばなかった。
咲夜は彩の方を向く。

圭君と何か話をしてるみたい。
多分…殺し合いには参加するよね…？
だよね～。
あーあどうしよう。

「人は殺したくないのに、彩ちゃん達と同じクラスが良いって、ワガママだよね…。」

「そうか？」

え！？嘘っ！声にてでた！？
咲夜は口に手を当てた。
そんな咲夜を横目で見ながら、一輝は言う。

「普通の人なら人を殺すのは良くないと、考えるぞ。
まぁ、異能力があるせいだったり、今人を殺そうとしても、相手が死なないというとこから、色々と麻痺している人が多いのは確かだが。」

「…え？」

「それに、人を殺さないで俺達といたいってのも納得できる。俺だって、人は傷つけたくないからな。」

「でも、それじゃぁ…人を殺せないと、Aにはいられないよ。」

「まぁ…俺は割り切れる性格だからな。」

一輝の仏頂面が、少し悲しそうな顔になっていた。

「咲夜は…俺と違って優しいから。お前の異能力は人を助けるのに使って欲しい。
多分…学校側もあのルールだけじゃなくて、他の審査方法もあるはずだ。…憶測だが。
もし、同学年を傷つけるのが嫌ならば、先輩の方で何かをカマスのもいいかも知れん。
…まぁ、あくまで俺の考えだが…スマン」

「いや、大丈夫！何とかしてみるよ！何か、話した事で少しスッキリしたし。」
咲夜は少し笑った。

『人を助けるために…』か、そうだね。
…うん！頑張ってみよう！悔いの無いように…！

最初とは、打って変わって咲夜は少し晴々とした顔だった。

ー(咲夜は、自分が思ってるよりも強く友達、仲間思いだ。多分、彩達が死にそうになってたら、目の色変えて相手を即殺しに行くだろうな。)

そんな一輝の思いは、咲夜に伝える事はなく、自分の頭の中に閉まっておいた。