妖もどきと女子高生【恋愛】 (ページ7)

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六秒＊女子高生と妖ページ7

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動きが凍りつき、頭脳が警笛を鳴らす

逃げろ、今すぐに！

命の危険を感じた本能が、叫びだす

今すぐに、今すぐに逃げ出したい

だというのに、体はいうことを聞くことなく、震える視線を動かすことしかかなわない

すぐ真横に突き刺さった刀から、前へと必死に目線を向けた

低い、男の声

艶やかな黒い長髪を頭の後ろで一つにまとめ、黒い着物をまとった、しっかりとした体躯

赤暗い切れ長の瞳は妖しげで、蠱惑的、妖艶という言葉がしっくりくる

通常の私なら、滅多にお目にかかれないようなイケメンの容姿に嫉妬したり、馬鹿みたいに騒ぐ所だ

でも、真横に突き刺さった刀の恐怖

光の浮かばない氷のような双眼

何より、艶やかな黒髪が目を引く頭部に、見つけてしまった

揺れる、黒い、動物の様な耳

得体の知れない、どこまでも冷たいその男の視線に捕らわれて、鳥居に突き刺さったその刀が自分を斬り殺す、嫌なビジョンが脳裏に張り付く

本当に、本当に心の底から

率直に怖いと、恐怖を抱いた

「泣かないでくれる？人間の女の泣く姿って、惨めったらしくて嫌いなんだよね」

男に言われて気が付いた

頬を涙がつたっていることに

男は近寄ってくると、鳥居から刀を抜く

ギラリと輝く切っ先が、眉間に焦点を定めた

「‥‥お止めください！！白夜様！！」

男の背後から悲鳴に近い声が聞こえる

「安寿。厨子王。
夜風に当たろうと外に出たら、怪しげな人間の小娘が一匹

コレは何？」

「殺してはなりませぬ白夜様！その方は怪しい者ではございません！ ‥‥多分！」

少年君、そこは断定して欲しかったな

冷えきった思考の片隅で嘆いていると、刀の切っ先が動いた

＿＿＿チッ

頬に走る浅い痛み

生温い何かが流れる感覚

男は冷たい瞳のまま

「血は赤い。ボロも出さないなら、妖が化けてる訳じゃあ無さそうだ

じゃあ尚更コレは誰？人間の小娘風情が、何故入り込んだ訳？」

そう言い捨てた

「白夜様、その方は悪鬼、無法者の類いではございませぬ故、刀をお収め下さい！

その方は‥‥A様は、我が社に迎えられた、新たな時廻り様でございます！！」

数秒の沈黙

男は、クッと笑いを漏らした

「こんなちんけな小娘が時廻り？
面白い冗談だね、愉快だよ」

次の瞬間

ビュッ！

「！」

「白夜様っ！」

『！？』

男は、先程から安寿と呼ばれていた少女に刀を向けた

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