妖もどきと女子高生【恋愛】 (ページ25)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:13,725 hit

二十一秒ページ25

.

言い訳は許さない

そう言わんばかりに鋭く光る赤い眼光に、私は硬直する

震える足を見られたくなくて、必死に押さえつけた

はっきり言って、さっき力使ったせいで体力が限界に近い

グラグラする視界に、嫌な銀色の光が見える

『‥‥‥わかっ‥‥た‥‥』

近寄って、木に手を当てる

背後から、まだ白夜が刀を向けている気配がした

『‥‥』

片手で扇を開き、かざす

『‥‥巻き、戻れ』

瞬間、突風が吹き上げ、障気が渦を巻きだした

『うぷっ！』

思いっきり巻き込まれ、飲み込まれる

く、苦しい、苦しい！

痛い、この空気

肌に刺さるようなそれに思わず涙がでた

安寿と厨子王がなにかを叫んでいる

私は膝をついた

白夜は何も言わない

ただただ無機質な瞳で私を見ている

そこには同情の一欠片も写ってなかった

この狐は本当に‥‥私がどうなろうと興味ないんだ

私がこれで死んでもきっとなんにも思わない

むしろ、私がこの桜を浄化できると思っているかさえ疑わしい

なにそれ、何か腹立つ

目に染みるような感覚を我慢して、私は思いっきり手を幹に押し当てる

女は気合いと根性

私はあんたが知ってるような可愛らしいタイプじゃないの

『‥‥さっきの台詞、忘れたとは言わせないかんね』

力を使いすぎたせいかせばまっていく視界

浄化出来ているのかもわからない

＿＿あ？動けんじゃねえか！！

気を失う直前

そんな声を聞いた気がする

＿＿＿＿
＿＿

「‥‥さま‥‥A様！」

『ふぎゃっ！？時間外営業はオプションです店長！！！‥‥ってなんだ、厨子王か‥‥』

「大分悪夢にうなされてると思ったら‥‥なかなかに可笑しな夢を‥‥って違う。なかなか起きられないので心配したのですよ！」

『え？起きなかったって‥‥私そんなに寝てた？』

まじで？記憶が微塵も無いんだが‥‥

首をかしげている私の耳元を、次の瞬間

ビュッッ

『ひぎゃあ！？』

「チッ‥外したか‥‥」

慌てて振り返ると、和室の入り口に逆光を背負った白夜が立っていた。柱に深く突き刺さった刀は未だに振動したままで一気に青ざめる。ていうか今舌打ちしたかこの狐

『ちょっ‥‥いきなり何すんの！？』

「三日も寝こけてた愚図なキミに口答えする資格があるとでも思うわけ？阿呆な口は縫い付けてしまおうか」

バイオレンスにも程があるぞなんだこの狐！？

信じられないってかこいつホントに神職についてる狐なのか!?にわかに信じがたいんだが!!!

.