教師×生徒って有りですか…？ 【桃】

story12. ページ12

◇


『さいあく、さいあく…』

さとみ「…おーい、Aー?だいじょぶかー」


他人事のように話し掛けてくる先生は、前髪をヘアピンで留めている。
その姿がかわいいのが腹が立つ。


『大丈夫じゃない。先生のせいだよ』

机に突っ伏す。頬にひんやりとした物が触れた。


さとみ「え?俺?」


大きい瞳をぱちぱちと動かすさとみ先生。
腕を組んでしばらく考え込む仕草を見せたあと、急に真顔になる。


さとみ「だめだ。分からん。」




さとみ「なぁ、A。なんで怒ってんだ?」



ボールが空を切る音が聞こえた。私は、ふっと息を吐く。




『怒られたの、佐々木先生に。』



さとみ「あー…、まじか。ごめん、ほんと…」

『もう、さいあく…』


申し訳なさそうに頭を下げるさとみ先生は、「…今度、なんか奢る」と呟いた。
私は、思わず肩を震わせる。

…これは、チャンスかもしれない。


『…先生、私……先生のお家に行きたい』







さとみ「っ…A…」



できるだけ甘えたように出した声に、自分でも引いてしまう。
絶対先生にも引かれた。やばい。どうしよう。


『…な、なーんて……』

さとみ「……ふたりでいいのか?」



『…ふたりがいい』

さとみ「俺……」




◇

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