教師×生徒って有りですか…？ 2. 【桃】

story53. ページ3

◇
ころんside


教室の前まで来てみて気がついた。
Aの声はしないどころか、Aの悪口を言っているのが聞こえるではないか。


ころん「…ぜってぇいねぇじゃん、」


どうしたものかと思ったが、盗み聞きをしていると、なんだか無性にイライラしてきてしまった。

お前らにAの何が分かんだよ。
いや…僕もあんまり知らないけどさ？
あんたらよりよっぽど可愛いし、性格も良いし、さとみのこと、誰よりも真剣に考えてる。

それだけは分かる。

お遊び半分のお前らなんか…。


気が付いたら僕は歩を進めていた。半分だけ開いた扉から顔を覗かせる。


ころん「なーんの話してんの？」


自慢じゃないけど、顔は良い自信がある。
うーん…まぁ？さとみと並ぶくらいには。

僕の顔を見るやいなや、女子たちは短い悲鳴をあげた。
ただ、僕のことを拒否している訳ではなさそうだった。

だって、それは黄色い歓声だったから。


ころん「僕も混ぜて？」


一番可愛く見える角度に首を傾げ、言ってみる。


「はいっ！もちろんっ！！」


は、チョロ過ぎだろこいつら笑 頭悪いんか。
女子たちは、椅子を出して僕をそこに座らせた。
さっきまでスマホを見ながらだった人も、今は机の上において僕の顔を凝視している。


ころん「ね。さっきなんの話してたの？」

「あ、せんぱぁい。聞いてくださいよ！」

「国語科にさとみ先生、居るじゃないですか？」

ころん「あぁー、居るねぇ」


親友だ、ということは隠しておこう。まだ今は。


「さとみ先生に、お気に入りの子が居るんですけどぉ…」

「ほんとに最悪の子なんですよ！！」


最悪の子…？アホか。お前らの事だろうが。
僕はバレないように小さく舌打ちをする。


ころん「…へぇ、どんな子？」

「えっと…Aって言うんです！！」

「可愛くないし、根暗だし、それなのにいっつもさとみ先生にベッタリで…」

「そうそう。しかも、国語だけ毎回学年1位でしょ？絶対先生もひいきしてると思うんだよねぇ」

「それ！w思ってた！」


ころん「ふーん」


さすがに限界かもなぁ、
僕は組んでいた足を組み替えながら言った。


ころん「僕、Aのこと知ってるよ」

「え！！まじですか！？」

「まじで色々やばいですよね！！w」

ころん「え？お前らほどじゃないでしょ？」


僕の言葉に、女子たちは目を丸くしている。
その顔を見ていると、思わず吹き出しそうになってしまう。


「…先輩？」

「…どういう意味ですか？」

◇

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