優しい人 ページ7
.
『 なにか、悩んでるの…？』
まさかの言葉に
目を見開いて驚く。
『 なんでわかるのって顔してる。笑 』
そう言って切なく笑う彼。
『 俺、昔から耳が良くてさ。
生き物からはとにかく音がしてる。
たくさんの音がこぼれ出してる。
呼吸音、心音、血の巡る音…
それを注意深く聞くと
相手が何を考えてるのかわかるんだ 』
すごいことなのに、
彼はとても切なそうに話す。
『 でも俺は よく人に騙された。
俺は自分が信じたいと思う人を
いつも信じた。
どんな音が聞こえようとも 』
" バカなんだよね、俺 " と笑う。
『 それに、寝てる間に人が話してたことを
知ってる時があって よく気味悪がられた 』
この人は、耳が良くて
いい思いをしたことがないんだ。
少し私と似てるところがあるかもしれない。
『 だから Aちゃんが思ってることもわかってた。
縁側で見かけた時から 』
そう言いながらも、
これを聞いた私がどう思うのか気にしてる。
また昔のように
気味悪がられるのか、
それとも
騙されてしまうのか。
少し怖がってもいる。
『 だからさ、ちょっとでも
元気になれればなーって
誘っちゃったんだ、ごめんね 』
それでも私のことを 本気で心配して
元気にしようとしてくれてるんだ。
善逸くんは とっても優しい人なんだ。
「 …大丈夫。
私は気味悪がったり、騙したりしないよ？ 」
『 えっ… 』
善逸くんも目を見開いて
" なんでわかるの？ " という顔している。
「 私はね、人より感覚が優れてるの。
空気が読めるって言うのかな。
注意深く見れば人が放つ雰囲気で
その人が何を考えてるかわかるし、
わりと遠くからでも
どこから誰が来るのかわかる。
人にはオーラがあるんだよ 」
目をまん丸にして聞いている善逸くん。
「 オーラは常に見えてるわけじゃないけど
集中すると見えるんだ。
人のオーラって色があるの。
善逸くんは黄色いオーラだよ！ 」
笑ってみせると、
ほっと安心したようで
さっきの笑顔に戻る善逸くん。
「 心配してくれてありがとう 」
『 ううん！
余計なことしちゃってごめんね？』
この人になら…
この人になら、話しても大丈夫かもしれない。
「 私ね、4歳までの記憶が無いの 」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
mini(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます(T_T)！更新頑張ります！！ (2020年4月20日 21時) (
レス) id: 91678dce2b (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 強い女子と善逸くん、大好きな組み合わせです（笑）続き楽しみにしてます！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mini | 作成日時：2020年4月12日 20時
