戻る記憶 ページ39
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「 あーあ、すごい雨降ってきちゃったなぁ 」
『 家で少し雨宿りしていきなよ!』
「 うん、ごめんね… 」
…
「 お父さーん!お母さーん!
遅くなってごめ…ん、ね… 」
『 A… 』
「 お父さん…! お母さん…!」
『 ごめんなぁ、A…
もう、守ってやれなくて… 』
「 …なにがあったの…?
どうしてこんなに血だらけなの!?
お母さんは!?」
『 強く、生きるんだぞ…
父さんとっ…母さんは、いつでも…
Aのそばに、いるからな… 』
『 …嫌だ!!お父さん!ねぇ、起きてよ!!
お母さん、なんで着物しかないの!?
___ ねぇ!起きてよ!!」
____________
思い出した…全部。
今まで全て忘れていたことが
嘘かのように記憶が戻ってきた。
「 全部、思い出しました…
私 あの日、友達と遊ぶために山を下りてたんです。
帰ろうとしたら急に大雨が降ってきて雷も鳴って
友達の家にいさせてもらって…
雨が止んだから急いで帰ったら
お父さんは血まみれで倒れてて、
お母さんは着物しか残ってなかった 」
あの時の光景も心情もはっきりと蘇る。
『 あの時の雷は春光の仕業だろう。
おまえさんが帰ってこないようにするためにな 』
「 私っ…どうしてそんな大切なこと… 」
『 無理もない。当時おまえさんははまだ4つ。
両親を同時に亡くして
ショックを受けないはずがない 』
「 でもっ… 」
お父さんとお母さんは 私の知らないところで
命懸けで私を守ってくれたのに。
そんな大切なこと、どうして忘れてたの…
『 A 』
自己嫌悪に陥っていると、
桑島さんは初めて私を名前で呼んでくれた。
私を見るその眼差しは、とても優しかった。
『 いつかAに会うことができたなら、
渡そうと思っていたものがある 』
そう言って桑島さんは
奥の方から風呂敷に包まれた長いものを持ってきた。
「 これは… 」
『 刀…? 』
『 そう。月一郎の刀だ。抜いてみろ 』
チャキン…
刀を抜くと、これまた善逸くんと同じ
黄色い雷が走ったような刀身だった。
『 刀も、俺と同じ… 』
『 そうだ。
ま、月一郎は居眠り小僧ではなかったがな!』
『 ばっ…バカにすんなよじいちゃん!!』
" ハッハッハ!! " と高らかに笑う桑島さん。
桑島さんはきっと、
善逸くんをお父さんと重ねていたのかもしれない
そう思った。
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mini(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます(T_T)!更新頑張ります!! (2020年4月20日 21時) (レス) id: 91678dce2b (このIDを非表示/違反報告)
stereogirl(プロフ) - 強い女子と善逸くん、大好きな組み合わせです(笑)続き楽しみにしてます! (2020年4月20日 19時) (レス) id: ebd32c96af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mini | 作成日時:2020年4月12日 20時