泣き虫少女と盗賊団 (ページ25)

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Episode172 ／再会と対話ページ25

｢いいえ、A様はいつまでも私たちの雇用主でいらっしゃいます。｣

『…それはだめだよ。案内、お願いしてもいいですか？』

わざと敬語を使って、ゾルディック家との線引きを示す。

少し、悲しげに見えたゴトーさんは屋敷内へと案内してくれた。

さっきも入ったことバレてないよね…？流石に。

案内されたのは食卓のある部屋。

そこの食卓には、シルバさんゼノさん、キキョウさんとカルト、イルミ…がいた。

思わずイルミを睨んだら、視線をそらされた。

あいつ…

｢まぁ！Aちゃん、おかえりなさい！髪の毛の色、戻したのね？！キルによく似た銀髪ね！黒髪もイルミに似ていて似合っていたけれど、やっぱり銀髪もすごくいいわ！大きくなったわね！5年ぶりかしら？！｣

分かっていた。キキョウさんは話し出すと止まらない。

｢おい、落ち着けよ。固まってんじゃねぇーか｣

シルバさん、ナイスです

『…お久しぶりです。』

ぺこっ、と頭を下げれば空気が凍りついた。

｢…どうしたの？今まで通りでいいのよ！？｣

『…え、でも』

｢5年離れてたとてワシらはもう家族のようなものじゃろ？｣

そう言ってくれたゼノさん…じいちゃんに涙が出た。

『…ありがと』

｢イルミとは会ってたんだって？｣

『うん、2年前くらいに』

昔私の定位置だった場所に座って、目の前のシルバさん…父さんと話す。

キキョウさんはカルトを連れてどこかへ行った。

少し静かで有難いが、じいちゃん、父さん、イルミの3人に囲まれるとなかなか怖い。

｢…旅団に入ったと聞いたが…｣

『…うん』

どこ情報…。

ちらっとイルミを見たが、イルミがそんなこと言うはずが無い、と結論づける。

まぁここは天下のゾルディック家。どこからでも情報は入るだろう。

それよりも…なんて言われるんだろうか。

びくびくしながら、じいちゃんの言葉を待てば

｢上手くやれよ｣

そう言われた。

『…え？』

｢なんじゃ？｣

『…んーん、何も無い』

予想外の言葉に一瞬止まった。

｢何を言おうとしたのか知らんがの、A。何をしようとワシらは止めん。ただ…ワシらも仕事。もしおぬしがターゲットの場合は…手は抜かんぞ｣

手は抜かない…要するに本気で殺しにくる、と。

盗賊と殺し屋、一見全く違うように見えて裏の世界の住人であることに変わりない。

『ははっ…依頼主殺しちゃうから大丈夫だよ』

そう言うと、じいちゃんも父さんも笑った。